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□モテる彼氏がいるということは
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大野くんは、今日も女子に囲まれてる。




「大野くんのためにクッキー焼いたよ〜♡食べてほしいの〜♡」




「もしよければ宿題写させてほしいなぁ〜♡」




女子が巧みに口実を使って大野くんに近寄ってくるのに対し、彼は冷静(というか冷酷)に対処している。





あたしはそこに立ち尽くすことしかなかった。取り囲んでいる人の中には先輩もいるから、迂闊に口出しできないのである。





……みーんな大野くん大野くんって。別にいいじゃないのさ。他にも男子いるんだから。




今のあたしには、そうやって妬くのが精一杯だった。何も出来ず、情けない。



話し終わったようである大野くんは、肩をポンと叩いてその顔を覗き込んだ。





「わっ!な、何!?」



「んふふ」




「ホントにどうした」



「別に?」




なぜ疑問形なのかは置いておいて、彼がにやけている理由を聞いた。



不意に真顔になった大野くんは、しばらく唸った。そうして、答えを得たかのようにこちらを見つめる。




「何でってそりゃあ、お前が妬いてくれたから。俺って愛されてんだなーって」




「心読んだ!?」





「バーカ。顔に出てんだよ顔に」



そう言ってぐーっと頬をつねってくる。




二人きりでもなかなかデレてくれないため、今のセリフは貴重だ。





昔みたいな明るい笑顔で嫉妬心はどこかに消えるんだから、すごいものだ。




あたしは漏れる笑い声が大野くんにバレないようにしながら、彼の手を引いて家路についた。
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