[ブ]For you

□03
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***


「ナマエ!」
『!?――イグニス!』


名前を呼ばれて振り返ると、イグニスが片手に何かをぶら下げ、空いた手を上げていた。
まだ城の中だ、ボクの名前を呼ぶのは快くない…そう思ったボクはイグニスに近寄ると”ギメイ"っていつも言ってるでしょ!と耳元で注意した。


「大丈夫だ。誰もいないし、ちゃんと周囲は確認した」
『ん、まぁそれならいいけど。ノクティス様と再会するまではギメイで呼んで!わかった?』
「なるべく努力する。」


ポーカーフェイスのイグニスは顔色一つ変えずにそう口にした。
本当に分かったのかな?
それにしても、甘くて良い匂いがイグニスから漂っている――


『甘い匂いがする』
「あ、これか。お菓子を作ったんだが…いるか?」
『え!いいの?!いるいるっ!』
「あ、あぁ…」


イグニスも幼少期の頃はボクを男だと思っていて、女の子の様な反応をするボクに違和感を覚えたのか少し驚いていた。


『イグニス?…ボクを男の子だと思っていたのはしょうがないけど、ボク健全な女の子だからね?そんな驚かないでよ…わっおいしそう♪――』


紙袋を手に取り甘い匂いのするお菓子を眺めながらボクは言う。


「すまない、さっきのナマエの態度は慣れてないからついな。」
『容赦で解ると思うんだけど?髪も伸ばしてるし』
「そうだな。女性らしい髪型だ」
『えへへ、やっとここまで伸びたよ!』


クルっと回って靡いた髪を見せるとイグニスは微笑んだ。


『あ、笑った』
「オレをなんだと思っている」
『ポーカーフェイスイグニスさん』
「・・・・。」


あ、真顔に戻った。





***


ついでにイグニスと一緒に帰ることになり、他愛のない話をしながら歩いた。


「ノクトとは会ったのか??」
『会ったって言うか…ノクティス様がボクの教室に来たよ?』
「なぜ?」
『さぁ〜…でも悲しいことに目が合った瞬間、苦い顔して出て行ってしまいましたけどね。』
「死んだはずのお前に似てたからじゃいのか?」
『?!――。さすがイグニス!察しがいいね〜ボク、今の今まで全然そのコトに気づかなかった』
「…どこか抜けてるなお前。」
『ん!今日グラディオにも言われた!!なんなの2人して!』


頬をぷぅ膨らましイグニスを睨んだ。


「まあ、そこがお前の良い所でもあるんじゃないのか?ハハハ」
『なにそれ褒め言葉にもなってないよ!ていうか、空笑い止めて?――あ、』
「ん?」
『そういえば、ノクティス様…友達とボクの教室に来てたんだ!』


友達をちゃんと作ってくれたコトに嬉しくて微笑む。


「そうか」


とイグニスも嬉しそうに微笑んでいた。
なにかとノクティス様を心配するイグニスにはポーカーフェイスを崩せるような話題を聞かせてあげようと思った。











03
To Be Continued...
あとがき→
イグニスとは同い年だけど、主人公の場合は自由に学校生活を過ごせてます。
主人公は稽古以外は城にいません。
2017.02.09

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