[ブ]For you
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ノクティスSide
入学してから月日は経って、夏。
夏になるとあの時の記憶が鮮明に蘇る。
怪物に襲われ、大切な人を失った。
忘れようにも忘れられない・・・
忘れてしまったら、あの人も忘れることになる。
『ノク…ティ…ス…さま…無事で…よかった――』
あの時、王都を離れていたあの人が同じ場所に居た理由さえも聞けないまま、
あの人は…ナマエはオレを庇って死んだ。
戻ってくることはないナマエの死んだ場所で謝り続ける。
せめてもの罪滅ぼしにオレは一生この場所に行き続けなければならない。
***
放課後、プロンプトが帰ろうとオレの席に来た。
「わりぃ。今日は一人で帰るわ」
「えぇ〜!…ギメイさん見てからゲーセン行こうと思ったのに」
「毎日毎日、アイツ見に行くとかホント飽きねぇのな。」
「ノクト!ギメイさんを”アイツ”呼ばわりやめてくんない?失礼!」
「別にいいだろ」
「ははぁ〜ん…ノクト、マジでギメイさんのコト好きでしょ!」
「バーカ、ホントない」
コイツはいつもいつも好き勝手オレをからかいやがって!ちげーっつの!
「つか、お前の方が好きだろ。アイツのコト」
「!?――いやっ!オレは…ただ毎日見れるだけで幸せっていうか…」
「惚れてんな。」
「だから違うって!それに…ギメイさん気になってる人いるみたいだし?」
「ふぅ〜ん。興味ない」
「ホント冷たいよね〜。――初めて会った時に話してくれたんだけど、昔から護ってあげたい人がいるんだってさ――」
「!?」
その時、ナマエの顔が一瞬浮かび否定するように掻き消した。
「んなわけねぇ…」
「何?ノクト?…なんか言った?」
「チッ…つかもうアイツの話すんな!イライラする」
「え!?なんで怒るの?!…」
「もういい。帰るわ!じゃあな――」
「・・・ノクト?」
オレはその場を逃げる様に出て行くと、マンションとは反対方向に歩いて行く…行く場所と言えばあそこしかない。
***
無造作に作った墓。
その前で一点を見つめ、昔のコトを思い出す――
10年前、ナマエから王都を離れるって言われた時、オレはナマエと離れたくなくて駄々を捏ねた。ナマエはどうにか言い聞かせる様に説得してたな…。あの時のオレ、ホント我が儘だったわ。終いにはイライラして酷い言葉を言った。
そん時のナマエの顔は思い出すだけでも後悔が渦巻く。
友達も護るだけの人間もいらない。なんて言うんじゃなかった――
ラミア一族のコト、ナマエには6歳上の兄がいて…儀式で死んだことを知ったのはナマエが王都を離れてから親父から知らされた。
『それでもボクは、ノクティス様をお護りします。』
平常心を保ちながらも複雑な顔で最後にそう言った。
その後、頭を冷やしたオレは言いすぎてしまったと謝るためにナマエを探したが…ナマエは既に王都を離れていた。
―――――――
―――
――
――コロッ
「??――」
後ろから石が転がる音がして振り返ると、慌てるプロンプトがそこに居た。
「お前、後付けて来たのかよ…ストーカーか」
「い、いやぁ…アハハ…」
困ったように頭をかくプロンプトにはぁっと溜息を吐いた。
「で、何の用?」
「ノクトが一人で帰るって珍しいから、後付いて来たってわけです。」
「珍しくもねぇだろ…。」
「あと、少し心配になって…」
「は?」
「ノクト、自分では気づいてないだろうけど…ギメイさんの話するとすごい悲しそうな顔するから――」
「!?」
「それって、ギメイさんと昔何かあったってこと?」
「・・・・。」
プロンプトの観察力には呆れるわ。
また、ひとつ溜息を吐くとコイツには話してもいいだろうとオレは昔のコトを話すことにした。
「ギメイのヤツとは何もねぇけど…アイツの顔が似てるんだ――」
「似てるって?誰に…」
「オレが殺した人」
06
To Be Continued...