[ブ]For you

□05
1ページ/1ページ





「なんで?!ナマエとはもう会えないの?」
『しばらくの間です…。ボクはノクティス様を護る為に得ないといけない力があるんです。』
「会えないなんて嫌だよ!」
『わかってくださいノクティス様。これはボクだけに与えられた使命なんです。』
「じゃあ、ナマエはその”使命のため”だけにボクと友達になったの?」
『!?…ボクは「もういい!」ノクティス様…』
「そう言いうコトでしょ?!ボクはそんなのいらない」
『!?―――』
「友達も…護るだけの人間も要らない――」
『っ……。』



――ナマエ…もしもの時はノクティス様を頼んだよ?



『それでも、ボクは――――――。』



――――――――――
――――――
――



『・・・・・。』


ボクはノクティス様が作ってくれたお墓の前で昔のことを思い出す。



***


7歳になったボクは1年後の契約のため、暫く王都を離れることとなった。その話をノクティス様に話すと彼は今にも泣きそうな顔でボクを見つめた。
友達と呼べる友達がいなかったボクも、たった1年しか一緒にいることができなかったノクティス様と離れるのは寂しかった。

ボクはノクティス様を”友達”だと思っていたから…。
でも、ノクティス様はボクを”仕方なく友達になった”と受け止めてしまったのか否定の言葉も聞かないまま、一方的に言葉を発した――。


「ボクはそんなのいらない」


ボクの胸に今もずっと引っかかっている”いらない”の言葉。
胸を締め付けるような感覚。
見捨てられたような失望感。
”護るだけの人間もいらない”
ラミア一族を否定された悲しみ。
…その言葉は、護る力を得るための儀式で死んでしまった兄を思い出し、ボクにも怒りが湧き出てきて悔しい気持ちになったがそれを口にすることはなかった。




***


兄がノクティス様の血に拒絶されて死亡したことを知ったのは王都を離れる数ヶ月前。


「唯一の兄妹を亡くしたが、私たち一族は王家を護る為に生まれてきたのだ…ルシスを恨んではいけないよ?」
『わかってる。――ボクが代わりにノクティス様を護る力をもらう!心配しないでお父様、ボクは死なないよ?』
「!?――そうか。」


8歳で命を落とした兄。どれほど兄の運命を嘆いたのか、お父様がボクを見る眼差しで分かった。次はボクを失うのではいかと言う恐怖に飲み込まれそうになるお父様の心を少しでも和らげようとボクはボクなりに声をかけた。

”ノクティス様を頼む。”

不意にその言葉が蘇る時、誰に言われたのか思い出せなかったけどボクがこの立場になった時、兄と最期に交わした言葉だったと気づく。
物心つく前でハッキリと場面は思い出せないけど、その言葉はちゃんと覚えていた。


正直言うとボクも死ぬんじゃないかと本当は怖かった。



「暫くしたら王都を離れる。力を得るためにな――」
『うん』
「その時は自分でノクティス王子に話すんだぞ?」
『わかった』






その後、
ノクティス様を怒らせ、ボクの悲しみと悔しい気持ちは晴れぬままボクは王都を離れた。

















***


あれから9年。
契約の力と武術の力、ノクティス様を護る為の術は全部得たのに…。
今すぐにでもノクティス様の哀惜を消し去ってあげたいはずなのに、
ボクはまだあなたに再会するのが怖い――。


『まだ見守るだけしかボクにはできない…。』


そう言葉を吐くとその場を後にした。











05
To Be Continued...
あとがき→ノクティス王子、捻くれた子供設定。
経った1年(6歳〜7歳)…1年も経ってないかも!
それでここまで仲良くなれるものなのか?(そういう事にしておきましょう!ww)
執着心が強いノクティス王子…実は――。(後ほど)
2017.02.15



[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ