頂きもの

□一目ぼれ
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「晴れて良かったな」
「はい。せっかくのお祭りですもんね」
 私はマキシマさんと近所の神社のお祭りにやって来ていた。まず二人で祭神様にお参りして、それから参道に沿って並んだ屋台を見て回ることにする。たこ焼き、アイスクリーム、かき氷、それにフライドポテトなど、食べ物の屋台が多い。その中で、大きなウサギのぬいぐるみが座している射的の屋台が目に入った。
「……あ」
「ん? ……ひょっとして、あれが欲しいのか?」
「え!? あ、いえ、欲しいとかではなく、かわいいなぁと……」
「よし。任せろ」
 とマキシマさんが射的の屋台に歩いていく。
「親父、いくらだ?」
「三発で五百円だよ」
「なら、頼む」
 と浴衣の袷から小銭入れを取り出し、五百円硬貨を取り出すと屋台のおじさんに渡す。
「はいよ。弾は三発。よーく狙ってな!」
「言われずとも。……分析完了。行くぞ」
 つぶやいたマキシマさんはピストルを構え、引き金を引いた。
 ぱん、と乾いた音がして、ぬいぐるみの前の木札が倒れた。
「わ!! マキシマさんすごいです!!」
「ははは。まぁ、射撃の腕はK’の方が上だがな。それより、これが欲しかったんだろう? その……ゆうき、お前さんにやるよ」
「ありがとうございます!!」
 一目ぼれしたぬいぐるみをとってもらった私はもちろんのこと、残り二発でお菓子の詰め合わせを二つ倒したマキシマさんもご機嫌で射的の屋台を後にした。
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