スクイーズ篇 二門

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解き明かし 背中を預け合う08
 ビジネス街は夕方に傾ければ星空に溶け込むビルと星と共に空を灯すビルに分かれる。また一つビルが星空に溶け込む。
 蟬ヶ沢はくらくなったビルを見上げる。このビルはかなり奇妙な作りになっている。設計者は既に昨年の秋ごろに死んでそのデザインの意図は闇に葬られている。
 日曜日の二月十四日にこのビルは初めて日の目を見て、すぐに葬られる。
 寺月恭一郎の所有物というだけで金と存在を放つ。
 死んでもなおその存在は消え失せない。

心肺停止 背中を預け会う9
スクイーズの心臓が止まった。

すれ違い 背中を預け合う10
 部屋は暗いが、リビングの明かりでベッドの様子は見られる。先が分からない興奮で、ただ人の寝顔を見るだけでも楽しくてたまらない。蝶の能力で視れない相手がただ一人なだけに危険な目にあっても気づきづらいこともあるが、彼が何をしているのか読めないのが嬉しくて仕方ない。

どっちがいい? 背中を預け合う
 寝ている彼のほっぺたをつつく。
 先に起きた特権だ。
 かわいさに悶えながらまたつつく。
 髪をわしゃわしゃと撫でるが起きる気配はない。

ニゲラの写し巳 肩を預ける相手12
「やっぱセミさんじゃない」
「一体どんな私よ。勝手に人を夢の中に出しといて」
「……それは」

灰色から橙色に。 肩を預ける相手18
「さて、君の名前を決めておかなければならない」
 車の中の帰り道に彼は“あちら”の顔として話し始める。

避難 肩を預ける相手20

 窓から伝わる冷気で目が覚める。時間はカーテンの隙間から見える朝になりかけの空で四時くらいと捉える。

いつももうちょっとぎゅってするじゃん 背中を預け合う21
「これじゃせみさんのこどもみたい……」
「実の子供くらい大事よ」

うんざりするくらい居てあげる。 背中を預け合う22
避難」→「いつももうちょっとぎゅってするじゃん」の続き。

 起きてすぐに腕のなかにいたはずの蝶がいないことに気づいた。

休憩監視 背伸びした先01
「ちゃんと休憩出来るまでここで監視しとく」
「貴女も仕事があるでしょ!」
「景山さんが“よろしくやってろ”ってことで本日はセミさんも私も実質今お休み」



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