スクイーズ篇
□手を汚す時
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「能力を使わなくても、技でも決めてあげようかと思っていたから大丈夫だよ」
ちよは自信たっぷりにボディービルダーのように腕をまげて細い腕の筋肉を見える。
「だめよ。下手したら、発動してしまうじゃない。いくら故意的に使わなくても、とっさに使うかもしれないわ」
そういってスクイーズはちよの左手を両手で握り、何かを我慢するように震える。
「ちよには人を…、手を汚して欲しくないの」
これはスクイーズの本心だ。スクイーズは本音を漏らす時は常に弱々しい。
「…させたくないわ」
ちよは握られてない右手をスクイーズの頭に添え、撫でた。
「泣かないでよ」
「泣いてない」
スクイーズは俯いたままちよの肩にもたれた。
「セミさんが泣いちゃうくらいだものしないわ」