スクイーズ篇

□柑橘類の香水
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「じゃあ、あのとき水族館に連れていったのって、昔会った女の子が望んでいたからなの?」
ちよは「それはないわ」と呆れて、枕に顔を埋めてしまった。
「なんか、貴女と年が近そうだったし……」
本当のところ、あの時海岸で会っていたのはちよだと蟬ヶ沢は今になって思った。ただ、あの時のは思い出させたくない目に遭わせた上、少し情けないことを言ったので、出来れば思い出して欲しくない。
「まあ、私も水族館は好きだし。別に良かったけどさ。というか、他の合成人間に聞いたりして大丈夫だったの?」
「一人はコピだから分かるでしょ。ミセス・ロビンソンも………なんて言うのかしら、大丈夫な気がしたのよ。私が純粋に聞きたかったのが分かったのか、最初こそ疑いはしたけど説明したら」
「ロリコン扱いはされたっぽいけどね」
「ペドフィリア・コンプレックスの方が正し、正しくないわ。そもそも、私はロリコンでもペドコンでもないわ」
「セミさんならロリでもペドでも大丈夫でしょ。ここに襲われなかった人がいるんだから」
「これまでの行動、ほんと私じゃなかったら襲われてもおかしくないんだからね。ちょっとは気を付けなさいよ?」
「セミさんはそんなことしないでしょ」
ケラケラ笑うちよに蟬ヶ沢は呆れて、頬をつねる。この状況でまだそんなことが言えるのか。
「ひぇひひゃん、ひぃひぃひゃひゅ!」
「意地悪で結構」

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