スクイーズ篇
□痛み
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ちよがベッドで寝ている。スクイーズの強化された目で見てもただ寝ているようにしか見えない。寝ているだけのはずだ。
さらりと頬に触れる。
「早く起きなさいよ」
スクイーズの声掛けにちよは起きない。起きられないことを知っている。それでも目が覚める事を願って声を掛け続けているのだ。
ここは病院。入院患者として彼女はここで寝かされているのだ。
スクイーズは見舞いとしてここに来ている。
ちよがいる病室は個室。部屋の扉のプレートには関係者以外面会謝絶と書かれている。スタッフにもナースコールの呼び出しが無い限りは来させないようにもしている。
スクイーズはベッドの隣に置いた椅子に座り、猫背気味になる。
スクイーズは自問する。ちよがこのように昏睡した瞬間を繰り返し思いだす。
何故、敵の攻撃に気付けなかったのか。手が届けば、引き寄せることも出来たはずだ。手を引かずとも自分が庇えばよかったのではないか。
今回の任務は“ちよがMPLSの攻撃を受ける”のが目的だというのに、スクイーズは反逆行為に等しいことを考えていたことに気づいていない。
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