「じぃちゃん、何考えてるの?」


孫の智史が不思議そうな表情で
猛の顔を見ていた

「うん、少し昔の事を思い出していたんだよ」


「ふーん」


「智史、ディズニーランドは楽しいか?」


「うーん、楽しいよ! 
さっきミーキーマウスと写真撮ったのだよ」

「そうか、そうか、そりゃ良かったなぁ」


猛はそう言って
孫の頭を優しく撫でた


ほどなくして、猛一行
全員がパレードを見に
猛の周りに集まった
総勢23名、
猛が生き抜いたおかげで
生まれた命


節子がつむいだ命






<生きる勇気>
2007、夏ホラーの覇者、どうどうの投稿です。
シリアスで……涙もありなのに……なのにっっ…!!
うっかり笑わせてしまうユーモアもやっぱり隠し切れずにお尻が見えてるといいますか……笑
自分の作風を知っているんでしょうねえと思うと天然であることを感想の返信で惜しげもなくばらされているのですが、あなどれない作家様です。
さてこの作品、主人公の母親がキーポイントです。丁寧な時代背景もさることながら、まるで与謝野晶子を思わせるような前衛的な考えを持つ母、節子。
この時代、お国のために死ぬのが日本人としての誇りであったでしょう。「死ぬ勇気」が称えられた時代に母は「生きる勇気」を息子に託します。
そして節子は息子のために小さな贈り物をします。そしてそれは後に多くの命をつむぐ大きな大きなギフトとなるのです。そのアイテムは…読んでからのお楽しみ。作者様の個性、そしていわゆる「カトラスカラー」があふれ出ています。
とぼけたふりして人の心をノックする作風、そして「こんなんなりましたー」と頭を掻いてニヤニヤしながら読者の反応を楽しんでいるに違いない…。マスターカトラスにしてやられてくださいませ。


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