Puppy Loving You…

□T
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『――僕にも責任があります』

いつもおどおどした彼が、珍しくきっぱりとした口調でそう言った。

全部、私に押し付けて逃げればいいのに。
僕はただ、心配で付いて行っただけです、だから何も知りません……って。
最初からそのつもりだったのに、馬鹿な人。

以前の私なら、少なくともニュートと出会う前の私ならそう思っただろう。

でも今はただ、その言葉が心に沁みた。
嬉しくて、涙が出そうになった。
初めて本当の友を得たのだ。
私たちは共犯で、仲間で、友達同士なのだ。

いつの間にか私の周りに築かれた壁をたった一言で彼は崩してくれた。
世界はこんなにも広いのだと。

だから、一度知ってしまったらもう戻れなくなる。
一人でも平気だったはずが独りぼっちが怖くなる。

彼は私がマグル生まれなのを知らない。
もし知られてしまったら、何て言うだろうか。
血なんて関係ないと、そんなことどうだっていいと言ってくれるだろうか。
それとも……。
自分の手のうちを全部晒さないのは騙しているようで心苦しい。
でも失うのはもっと怖い。

私は自分が思っていた以上に臆病者だ。
規則を犯せば勇気が手に入るかと思ったが、そうでもないらしい。

彼の優しさに甘えて、もう少しもう少しと曖昧な「いつか」を心の中で唱えながら嘘を重ねる。

私は臆病で、そして卑怯だ。

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