Puppy Loving You…

□U
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「――あっ、」

金色の縁取りのあるネイビーブルーのパッケージにきちんと包装された茶色いそれと目が合う。
刹那、手のひらを蹴って高く跳躍し、地面に降り立つ。
扇動するように一声鳴き声を上げ、ぴょこぴょこと起用に全身を使って飛び跳ねて行ってしまった。

「あーぁ、ツイてないね」

「逆よ、あまりにもツキすぎてたからそのツケが回ってきたのよ」

「そうね、ほんとだわ」

「ちょっと二人とも、何よそれー」

薄情な友人たちにリジーは拗ねて口を尖らせた。
木枯らし吹きつける秋の空、カラフルな店の軒先で。
甘い匂いが店の外まで漂ってきて、吸い寄せられるように自然と足が向き、気づいたときにはカゴいっぱいに甘いお菓子が詰め込まれていた。
2人がけ用の木のベンチは、いくら小柄な少女たちといえど三人も座ればぎゅうぎゅう詰めになって、少しの振動でもぎしぎしと危なげに軋んだ。

「てかさ、今更だけど、」

ミニーがおもむろに口を開く。

「デートの待ち合わせに私たち居ていいの」

彼女は呆れたように、今にもため息をつきそうな表情で言った。

「……一人じゃ顔合わせずらい」

「なんで?」

「うう、だってぇ……」

脳内に記憶がふつふつと蘇ってきて、リジーは頬を林檎のように赤くし、両手で顔を覆い隠した。

「き、キス――」

「「は?!」」

「しちゃったの……」

二人の声が重なる。
ミニーは呆気にとられてぽかんと口を開け呆然とし、オルガは瞳をきらきら輝かせて頬に手をあてた。

「待って、聞いてない、初耳」

「ねえねえ、どんな感じだった?どこにしたの?」

「えっと、ほっぺ……だったかな」

「キャー!彼も中々やるじゃないっ」

「それがその、向こうからじゃなくて、」

「自分から?!ウソー!だいたーん!」

「うう、もうやだやめて、今すぐ私をオブリビエイトしてっ」

リジーはわあっとヒステリックに声を上げた。

「落ちついてリジー」

ミニーが背中を撫でて宥める、オルガはその手に新しいカエルチョコを握らせた。

「落ちつく、落ちついてるわ、大丈夫、これ以上ないほど冷静よ」

「驚くほど説得力に欠けるわね、あんたのそんな顔見るの初めて」

「ええ、ほんとに。間違いなく茹で上がってる」

「月末には試験も控えてるのよ、忘れたわけじゃないでしょうね」

「そこは問題無いわ……たぶん。問題は魔法薬学だけなのよ。来年からは実技もあるんですって、信じられる? 4年掛かって出来ないことがたったの15分で出来るわけないでしょう?!」

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