Book 2(短編)
□秘密ね?
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〈羽琉〉
『痛っ…!!』
「羽琉、大丈夫!?」
『愛佳…やばい、死ぬかも…』
「…こんなんで死なねーよ」
愛佳、理佐、織田、茜、美愉と休み時間サッカーをしていた。
めっちゃ楽しくて、みんなめっちゃテンション上がってて…
自分は理佐からパスを受けて、シュートしようとボールを蹴ると足にびーんって激痛。
時間が経っても痛みが引かないからそのまま病院へ。
見事に骨折。しかも、治りにくいところが骨折しているみたいで入院することになった。
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愛佳「羽琉、おっすー!足の調子はどう?」
『ガチガチにギブスついてるからわかんない』
理佐「あのシュートでなんで骨折?(笑)」
『それもわかんない。先生も謎やね〜って言ってた』
お見舞いにきてくれた愛佳と理佐。
3人で話していると、長濱先生が入ってきた。
「橘さん、足はどう?まだ痛い?」
『いえ、薬も効いてるみたいで痛くないです。長濱先生の顔見たら元気になりました』
「ふふっ…そんな嬉しいこと言われても、何もでやんけん」
そう言って、病室から出て行った。
2人はニヤニヤしていて…
愛佳「…落とす気まんまんじゃん」
『そりゃあんなに若くて可愛かったらね』
理佐「羽琉が狙わないなら、私が落とすね」
『理佐、チャラい(笑)』
愛佳「女医…ってエロいね」
『…確かに』
理佐「はぁ…付き合いたい」
『おい、理佐。マジトーンで言うな』
高校3年生の会話なんてこんなもん。
愛佳と理佐は宿題のプリントを置いて帰って言った。
はぁ…こんな時にも勉強かよ。
そんなこと考えながらも、プリントを開き、問題を解いていく。
数学の宿題で、わからないところがあり頭を抱えていると…
「橘さん、何回もごめんね。大事なこと伝えるの忘れてた」
『長濱先生、何ですか?』
「リハビリの先生から上手に松葉杖使えてるって聞いたけん、退院をはやめようと思うんよ」
『そうですか…』
「ふふっ…宿題頑張ってるんやね」
『でも、ここ難しくて…』
「あー!これね。ここを、こうやって…」
ベッドに座って、自分のシャーペンを持ち教えてくれる長濱先生。
距離が近くて、ドキドキする…
説明がめちゃくちゃわかりやすくて…ありがとうって伝えた。
「宿題がんばって、えらいね」
『…子ども扱いしないでください』
「…してないよ?」
『えっ…』
ぐっと距離を縮めてきた長濱先生。
自分の目をじっとみている。
「ねぇ…」
『…何ですか?』
「先生と…恋、初めてみる?」
『…先生、』
「みんなには秘密ね…?」
そう言うと、自分の唇にキスをした。