Book 2(短編)

□守りたい
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〈羽琉〉



「羽琉〜、またりっちゃん声かけられてたよ」

『うるせーうるせー!』

「本当、理佐はモテるね」

『その話すんな』

「やきもち妬いてんの?(笑)」

『そりゃ、彼女が告白ばっかされてたら嫌でしょ』

「…そのモテモテな彼女を射止めたのは羽琉でしょ。自信持ちなって」



自分の彼女の理佐はめっちゃくちゃモテる。
普通に歩いているだけで、ジロジロみられるし、自分がいない時はよく声をかけられるらしいし…
一回一回やきもち妬いてたら疲れるだけなんけど、回数があまりにも多すぎて嫉妬から怒りに変わってくる。
で、こうやって愛佳によく八つ当たりしちゃうんだ。


「ほら、理佐来たよ」

『…うん、今日も可愛い』

「ばかかよ(笑)」



向こうから走ってくる理佐。
…誰がみても可愛いわ。
そりゃモテるよね。



「羽琉、お待たせ」

『…お疲れ様』

「…愛佳から聞いた?」

『うん』

「断って来たよ?」

『うん』

「ぷっ…うんばっかり(笑)やきもちだ〜」



そう言ってほっぺをつんつんしてくる理佐。
それをみて愛佳は邪魔しちゃ悪いしって帰って行った。



『何でそんなモテんの?』

「…私に聞かないでよ(笑)」

『…はぁ、本当嫌だ。理佐、あんまり可愛い顔、すんなよ』

「私が好きなのは羽琉だけだよ?」



自分の方をみてニコニコしている理佐。
恥ずかしくなって手を繋いで歩き出す。
今日は自分が一人暮らししているマンションでお泊まりをしようと約束していた。
マンションに着くと、ソファーに座りDVDを見ている。
目の前のテレビには、濃厚なキスシーンが映されていて…



「…っ、…」

『…これ、ちょっとやり過ぎじゃない?』

「…羽琉、キスしたい…」



理佐はそう言うとぎゅっと抱きついて来た。
その後は自然とそういう流れになって…ベッドで愛し合った。


ベッドの中でいちゃいちゃタイム。
理佐がいきなり不安そうな顔になってどうしたのかと思うと…



「あ、羽琉。あのさ…」

『ん?』

「この頃、ずっと話しかけてくる人がいて…」

『だれ?』

「学科が違うから、名前とかわかんないんだけど…何回も断ってるんだけどひつこくてちょっと怖いんだ」

『そっか…なるべく大学で一緒にいるようにするよ。こんどその人見つけたら言って』

「うん…ありがと」


不安そうに下がっている理佐の眉を指で撫でる。
また自然と見つめ合って深いキスをした。


**********


次の日。
理佐と食堂にいるとちらちらこっちを見ている人がいた。
理佐が自分のTシャツの裾を引っ張ってる。



「…昨日、言ってたのあの人、」

『あいつか…』

「喧嘩しないでね?」

『ふふっ…わかってるよ』



そう言って理佐の頭を撫でる。
理佐の手を繋ぎ、その人に近づく。



『すいません。ちょっと良いですか?』

「何ですか?」

『場所変えたいんですけど』

「…わかりました」



食堂を出て、人通りが少ない裏庭へと向かう。
理佐は自分の手をぎゅーって握っていて…怖いんだろうな。



「何ですか?」

『理佐に声かけてるみたいですね』

「はい、気になってるので」

『理佐、何度も断ってますよね?』

「…そうだったかな」

『もう、理佐に関わらないでください。』

「何であなたが決めるんですか?関係なくないですか?」

『関係なくねーよ。理佐は自分の彼女だから手出すな』

「……」



そう言って、理佐の手を引っ張りその場から離れる。
こっちが優しく話してるからって調子に乗りやがって…むかつく。



「羽琉、」

『ん?』

「…ありがと」

『どういたしまして』



2人で目を合わせて笑い合う。
これでもうあいつは関わってこないって思ってた。
こんなことになるなんて…思ってなかったんだ。
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