Book 2(短編)

□鈍感
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〈羽琉〉



「ジェンガしよー!」



楽屋に愛佳の大声が響き渡る。
理佐、美愉、茜、ねる、ふーちゃんはやる気満々。
自分はiPhoneで音楽を聴いているから今回は見送りだなぁって思っていると…



「おい、羽琉もやるぞ」

『今、歌聞いてんの!やっぱ乃木坂さんはいいね〜』

「いいから、早く」



腕を引っ張られて結局参加。
ぷっ…意外と愛佳が弱いんだよね。(笑)
ねるの作戦勝ちって感じだったな。



『はい、愛佳の負け〜。罰ゲーム!』

「…何、罰ゲームって」

『全力でキャッチフレーズ行ってみよう〜!』



ふふっ…いつも無茶振りしてくる仕返しだ。
みんなに愛佳のぶりっ子見たい人って叫ぶと集まってきた。



「何するの?」

『ぺーちゃん、愛佳がジェンガ負けた罰ゲームで全力でキャッチフレーズするって』

「ふふっ…面白そう」

『愛佳〜!早くしろ〜!』

「くっそ〜…

まなか、もなか、まんなか〜…

…死にたい」

『もなちゃーん!可愛いよ〜!』

「……理佐、助けて…」

「…っ…、」

『ぺーちゃん、笑いすぎ(笑)』

「愛佳、可愛い…っ、(笑)」



愛佳は理佐によしよしって慰めて貰っている。
ぷっ…面白かった。
さぁ、喉乾いたし販売機にジュース買いに行こう。
財布を持って楽屋を出ようとすると…



「ちょっと待って、」

『ん?』

「私もいくっ、」

『ぺーちゃんの分も買ってきてあげようか?』

「うーうん、大丈夫」



ぺーちゃんと2人で販売機のところまで歩く。
ぺーちゃんはクマさんの財布を持ってトコトコ歩いている。
ぺーちゃんの横顔を見ると、やっぱ可愛いなぁって思う。
なんて言うんだろう…理佐や美愉をみても可愛いなぁって思うんだけど…ちょっとぺーちゃんに対する可愛いとは違うような気がするんだよね。



『ぺーちゃん、ずっとその財布なの?』

「んー…軽いから。羽琉は新しい財布?」

『最近買ったんだ。なんて言うブランドだったっけ。なんかネズミみたいな…んー…えーっと、』

「ジミーチュウ?」

『そう!!それだ!』

「ふふっ…羽琉、面白い(笑)」



飲み物を買って(ぺーちゃんが年下だからって買ってくれた)、楽屋に帰るといつもより騒がしい。
楽屋の中心を見ると乃木坂さんの若月さん、松村さん、西野さん、白石さんが来ていた。



麻衣「まっちゅん、ほら居たよ?」

松村「…えっ、無理、恥ずかしい」

若月「…あ、居た」

『「…?」』



乃木坂さんがこっちを見ている。
……なんだろう。とりあえずおはようございますって挨拶をすると…



松村「あの、前から…」

『はい…?』

松村「羽琉ちゃんのこと、かっこいいなって思ってて…」

『ありがとうございます』

松村「よかったら…仲良くしてください…」

『ふふっ…はい、こちらこそよろしくお願いします』



白石さんがよかったねーなんて言ってて、目の前にいる松村さんは顔を赤くし照れている。
少し離れているところを見ると、ぺーちゃんと若月さんが楽しそうに話していて…
なんだか胸の中がモヤモヤする。
あ、若月さんがぺーちゃんの頭撫でた…



『……』

「ぶっ…見過ぎ(笑)」

『なに、もなちゃん』

「その呼び方やめろ(笑)
ついにぺーちゃんの魅力に気づいちゃった?」

『ぺーちゃんはいつでも可愛いよ』

「…まだ気づいてないのかよ、鈍感」



鈍感ってなんだよ。
そのあと、松村さんとは連絡先を交換して別れた。
ぺーちゃんと若月さんと連絡先交換してたっぽいな。
…まただ。心の中にはモヤモヤがたまっていく。


**********


「羽琉。」

『お、理佐。』

「この頃ずっとLINEしてるね。彼女?(笑)」

『違うわ(笑)松村さん。前連絡先交換しから毎日連絡くれんの』

「そうなんだ」

『今度ご飯行こうって誘ってくれて、今日行くことになった』

「…ねぇ、羽琉」

『ん?』

「…松村さんの気持ち気づいてる?」

『…?どう言うこと?』

「イケメンで鈍感ってなに(笑)」

『前、愛佳にも鈍感って言われた(笑)』



この頃よく鈍感って言われんなぁ…
理佐を見るとやっぱり可愛いって思う。
思うんだけど…やっぱりぺーちゃんが頭に浮かんじゃうんだ。


仕事が終わり、駅で待ち合わせをする。
松村さんはもう待っていて…



『すいません。お待たせしました』

「あ、羽琉ちゃん。行こっか?」

『はい』



2人でお鍋のお店へと向かう。
松村さんが予約を入れてくれてたみたいでスムーズ入ることが出来た。
料理も運ばれて来て、食べながらおしゃべりを楽しむ。



『乃木坂さんの新曲聴いてます。めっちゃ、かっこいいですね』

「ほんま?ありがと」

『欅は乃木坂さんに憧れてる子が多いので…前みたいに楽屋に来ていただけてみんな喜んでました。』

「ふふっ…わたしも嬉しい」

『若い子達はみんな若月さんに夢中でしたけど(笑)』

「若月はチャラいで?(笑)
あ、でも渡辺梨加ちゃんのこと気になるって言ってたかも」

『…そうなんですね』

「私も…羽琉ちゃんのこと気になってるよ?」

『えっ…』

「やっぱり、今の忘れて!また、ちゃんとしたタイミングで言いたい!」

『あ、はいっ、』




松村さんの自分の気持ちよりも、若月さんとぺーちゃんのことが気になって仕方がない。
ぺーちゃんって若月さんのこと好きなのかな…
好きだったら…嫌だな。
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