Book 3 (短編)
□仕返し
1ページ/4ページ
〈羽瑠〉
廊下を理佐と歩くと、きらきらした目で見てくる後輩達。理佐は横でにこにこ手を振っててる。理佐の手を掴み、やめろよっていうとか、なんで?って言ってる。いや、お前ねるいるじゃん。
『あんまり愛想振りまくなって』
「別にいいじゃん。
浮気してるわけじゃないんだし」
『きゃーきゃー言われるだろう』
「…それが、気持ちいいんじゃん」
『…だから理佐と歩くの嫌なんだよ』
「私よりモテてるくせによく言うよ」
理佐はイラっとしたのか、肩に結構な力でパンチをしてきた。ねると愛佳がいる教室につくと、理佐は遠慮もなく入っていく。
ねるに笑顔でお待たせなんて言ってて…あいつ、完璧にねるのペットだな。
『愛佳、行こ』
「うん」
愛佳と理佐とねると屋上で弁当を食べるのが毎日の日課になっている。理佐はねるに弁当を作ってもらったらしく、顔が緩みっぱなし。
『理佐、顔やばいよ(笑)』
「うるさい」
『卵焼き一個ちょうだい』
「えっ、無理」
理佐の弁当に入っている卵焼きを取ろうとすると必死になって逃げてて、めっちゃ面白い(笑)
「私のでよかったらあげるよ?」
『えっ、ありがとう』
「はい、あーん」
『んっ、…うまい。愛佳のお母さんは本当、料理上手だね』
「そうかな…毎日食べてるとわかんない」
理佐「人前でいちゃいちゃしないでくださーい」
お弁当も食べ終わり、少しゆっくりして教室まで向かう。廊下を歩いていると、またキャーキャー言っている後輩たち。
…女子校だからかな?まぁ、理佐は容姿端麗だし、みんなは理佐のドSな所を知らないから優しい白馬の王子様って思ってるんだろうなぁ…でも、自分にきゃーきゃー言う意味がわからない。髪短いから?サバサバさてるから?…理解できないね。
愛佳を見るとむすってしてて…ふふっ、ヤキモチかな可愛い。言葉に出すと怒り出すから何も言わずに手を握る。すると、愛佳も握り返してくれた。
「あの…先輩」
『理佐、呼ばれてるよ』
「あ、違います…橘先輩です」
『えっ、自分?なに?』
「あの…好きです」
『…ありがとう』
「それだけです…」
そういうと、その子は帰って行っちゃった。
理佐はニヤニヤしながら肩を組んでくる。
「モテるね〜」
『愛佳いる時にそういうこと言うなって』
「でもさ…羽瑠ってさ、なびかないのわかってるからこう言う告白多いよね。なんていうか…一方的に好きって言われるだけの告白」
『…理解できないけどね』
愛佳とねるを教室まで送り、また放課後って声をかけて理佐とクラスに戻った。
「…っ…」
『…何笑ってんだよ』
「愛佳、めっちゃ妬いてたじゃん…」
『…あんまり、そういうこと言うなって』
「もっと妬かせたら?
いいスパイスになるかもよー」
『理佐ってやっぱ、悪いやつだな』
放課後になり、理佐と愛佳の教室へ。
教室を見渡すと、愛佳がいなくて…
『ねる、愛佳は?』
「あ、さっき隣のクラスのイケメン女子に呼び出しされてた」
『えっ、あのチャラい人?』
「そう(笑)」
ねると理佐は先帰るね〜って2人で手を繋いで帰って行った。
とりあえず、愛佳の席に座って愛佳の帰りを待つ。30分経っても帰ってこなくて、そろそろ探しに行こうかなって思い、教室のドアを開けると…
「…っ!びっくりしたー…」
『…愛佳、遅い』
「ごめん、帰ろう?」
『…隣のイケメンに呼び出されてたみたいじゃん』
「あぁー…うん。」
『チャラかった?』
「まぁ…うん。でも、見た目はイケメンだった」
『……』
「羽瑠?」
『ムカつく…帰ろう』
自分で探り入れといて、愛佳の言葉を聞いて嫉妬するとかかっこ悪いけど、我慢できなかった。愛佳もずっとこんな気持ちだったのかな…