妄想置き場

□零れる
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初めて彼女に会った時、仕事に対して真っ直ぐなその姿を、純粋に眩しいと思った。

人当たりのいい笑顔に、仕事中の真剣な瞳に、時たま見せる悩む横顔に...城の皆はいつの間にか魅せられ、そしてそれは自分とて例外でなく。

気付いた時にはもう、彼女から目が離せなくなっていた。

けれど、自分は恐れ多くもドレスヴァン王国の...ジョシュア王子の専属執事。

...いや、それすらも正しい身分とは言えない...そんな複雑すぎる、彼女にはふさわしくない人間なのだ。

この身の全ては、2つの国のためだけにあるのだから。

...そう、思っていたはずなのに。


「...好きなんです、貴女のことが」


みっともなく、溢れた思いをぶつけるように口にしてしまった。

彼女の笑顔を前にするだけで、散々考えていた色んな事が吹っ飛んで、声が、顔が、喜びを隠さず表に出してしまう。

...ああ、本当に、貴女にだけは敵わない。

指先に感じた優しい温もりに、俺はそっと力を込めた。



fin



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