忍たま乱太郎

□視線の先には
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「滝夜叉丸くんだったよね!あの時は色々と教えてくれてありがとうね。お陰で今ではすっかり場所も覚えられたよ」

「い、いえ!!お役にたてたのならよかったです」



最初に会った時と様子が違うことに気づいた音根は、もしかしたら皆緊張しているんじゃないかと気づく。

今は自分だけしかいないから緊張しなくていいからねと声をかけるが、その返事は緊張そのものだ。



「タカ丸くん」

「ん?な〜に?」



音根はタカ丸を手招きし呼ぶと、何故皆はあんなにも緊張しているのかと耳打ちする。

すると、音根ちゃんが可愛いからだよと冗談を言われてしまう。

そんな音根とタカ丸の姿に嫉妬したのは滝夜叉丸であり、何か注目を自分にしなくてはと話を考える。



「風明先輩」



突然呼ばれ視線を向けると、鋭い視線を向ける滝夜叉丸の姿がある。

一体どうしたのだろうかと言葉を待つと、聞こえてきた言葉は意外なものだった。



「風明先輩、私だけを見ていてください」



その言葉に、音根以外の四年生は遂に滝夜叉丸が告白をしたとわかり、次に気になるのは音根の返事だ。

まだ今日で話すのは二度目であり、告白には早い気がした皆だが、滝夜叉丸本人は自分の口から出た言葉に頭の中がパニックを起こしていた。

嫉妬から出てしまった言葉が、まさか告白、それも四年生の皆がいる前ですることになるなど本人すら予想できるはずがない。

そんな滝夜叉丸にかけられた言葉は、わかったよと言う了承だった。



「ほ、本当ですか!?」

「うん。滝夜叉丸くんのことは色々と聞いてるけど、注目が自分に向けられないのが嫌だったんだよね?」

「はい?」

「大丈夫!!私は皆好きで、皆に注目してるから」



なんて言いながらグッと親指を立てる姿は可愛いが、滝夜叉丸の告白はどうやら、告白として受け取られなかったらしく肩を落とす。

そんな滝夜叉丸とは違い、何故か皆嬉しそうなのは、自分にもチャンスはありそうだとわかったからだ。



「そうだ!今日仙蔵からもらったお団子があるんだけど、丁度人数分あるから一緒に食べよっか」



そう言いながらお団子が包まれた包みを広げる音根の目の前では、ニコニコと笑みを浮かべる四年生達と、一人だけ暗い滝夜叉丸の姿がある。

そしてその日以降、四年生達のアプローチが始まったわけだが、一体誰が音根のハートを射止めることになるのか。

それはきっと、出会ったあの日から気になっている人物であり、今音根の視線の先にいる人物なのだろう。

だが、今はその視線に気づく者はまだいないようだ。



視線の先には
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