ナンバカ
□紡ぐ言葉は幸せ笑顔
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「そうなんですよね。やっぱり私はお二人についていくことができず今の状態です。でも、今も鍛練を続けているロックくんは凄いなって改めて思いました」
体も大きくしっかりとしていて、13房の中では一番男らしい体だと言えるロックだが、それはこういった鍛練の成果でもあるのだろうと感じる。
暫くして猿門が仕事へと戻ってしまうと、一人残った巫兎はロックを見詰めていた。
巫兎の瞳に映るロックはいつもかっこよく、そんなロックに惹かれない訳がない。
「何であんなにカッコイイのよ……」
同じ房で毎日顔を合わせているのに、いつ見てもカッコイイなんて思う巫兎はかなりの重症だ。
そんなことを考えていると、ロックが100周目走り終え、巫兎の元へと近づいてくる。
「お疲れ様」
「はぁ〜、今日もマジ疲れたぜ!」
「でもロックくん凄いよ!100周走りきっちゃうんだもん!」
流石に100周も走れば全く疲れないなんてことはなく、ロックの服は汗で張り付き、額から流れている汗は頬を伝い地面に落ちていく。
それでも、いつも通りの笑顔を巫兎に向けるロックはやっぱり凄い。
演習場では、100周走り終えたばかりだというのに、今もピンピンしている大和の姿があるが、あれは例外と考えていいだろう。
「まぁ、俺が100周走れたのは巫兎のお陰かもしんねぇけどな」
「え?」
「あー、あれだ!巫兎が見てるって思ったら、情けねぇところは見せらんねぇからな!」
ニッと笑みを浮かべ言われた言葉は、巫兎の頬を熱くさせ、巫兎は隠すように顔を伏せる。
深い意味はないとわかってはいるが、そんな風に言われたら、鼓動だって高鳴り出してしまうのは仕方のない現象だ。
「鍛練を終えた後は食堂で昼食だ!ロックくん巫兎くん、二人ともついてきたまえ!」
すると、そんな二人の元へ大和が来たため、3人で食堂へと向かう。
訓練をした後の二人のお腹は空腹のようだが、ベンチで座っていただけの巫兎は、二人が食べる量のご飯は確実に食べられないだろう。
鍛練を最後までしていたとしても、あの量は誰も食べられる気がしない。
そもそも大和の場合は持参の米俵を1俵まるっと一人で食べてしまうのだから、一体大和の胃袋はどうなっているのだろうかと不思議だ。