ナンバカ

□君は誰のモノになるのだろうか
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「リャンくんにウパくん、今日も鍛練お疲れ様!」



そう言いながら巫兎は、いつものように二人にタオルを差し出す。

二人はお礼を伝え、差し出されたタオルを受けとると、汗を拭き取った。

そんな光景を見ていると、巫兎からお疲れ様と言われタオルを差し出されるなら、鍛練をするのも悪くはないかもしれないと思ってしまう。



「何をニヤけてるんですか?キモいですよ」

「どうせろくでもないことを考えていたのだろう」

「君達ね、さっきから俺への態度悪くないかな!?」



この扱いは今に始まったことではないが、余程巫兎を取られたのが嫌だったらしく、今日の言葉は何時もよりきつめだ。



「二人とも、そんな風に言ったらチィーさんが可哀想よ」

「そうですね、言い過ぎたかもしれません」

「そうだな、少し気を付けるとしよう」



そう言いながらチィーの方を睨んでいる二人は、チィーに優しくする気など無さそうだ。

そして、鍛練を終えたリャンとウパ、サボっていただけのチィーを連れ、巫兎は5舎の食堂へと向かう。



「巫兎さん、今日はボクの隣で一緒に食べませんか?」

「ずるいぞウパ!今私が言おうとした言葉だぞ!!」

「早い者勝ちです」

「二人とも喧嘩しちゃだめよ。私が二人の真ん中で食べれば問題ないでしょ?」



それならと納得し、巫兎を挟む形で二人は座り、チィーは3人の前へと座る。

巫兎の隣、それは、チィーも座ってみたいが、この場所もチィーはお気に入りなのだ。

何故なら、隣からでは見ることのできない巫兎の表情全てが視界には入るからだ。

だが、この場所はいいことばかりではない。



「ふふ、ウパくん口許についてるよ」



そう言いながら、巫兎は指でウパの口許についたものを掬い取り、自分の口へと含む。

そんな巫兎の行動に、いつも色白なウパの顔は真っ赤に染まり、顔を伏せてしまった。



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