ナンバカ

□恋も場所も迷い中
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「主任、私はそろそろ休憩時間なので、お先に失礼致します」



一礼し、巫兎が看守室を出ていく姿を星太郎は見つめ、凄いですねと、ぽつりと呟く。

巫兎のデスクに置かれていた沢山の書類はすでに無くなっており、他の雑務も全て終えてから巫兎は休憩に行ったのだ。



「確かに、主任の言う通りかもしれないな……」



静かに何かを納得した大和が、職務を放り出し看守室を飛び出していってしまうと、看守室では、大和の名を叫ぶハジメの声が響いた。


一方その頃巫兎は、休憩室で休憩をしていたのだが、そこには巫兎以外に、5舎主任の悟空 猿門と、3舎主任の三葉 キジの姿がある。

だが、いつも騒がしい悟空は静かであり、キジもお喋りをしていない。



「ちょっとサル!アンタいつも煩いくらいキーキー言ってるんだから、今日も騒いでなさいよ」

「人を何時も騒いでるみたいに言うんじゃねぇ!!」

「あら、事実じゃない」



小声で話、喧嘩を始める猿門とキジだが、巫兎はそんな二人を気にする様子もなく、重い空気に猿門とキジはため息を漏らす。

こういった、物静かで無口であり、何を考えているのかわからないタイプの人間は、どうやら二人苦手のようだ。


結局一言の会話もないまま休憩時間が終了し、3人は各舎へと戻る。

だが、巫兎が看守室へと向かう途中、何やら見慣れた人物の姿があり足を止めると、その人物は巫兎へと駆け寄ってくる。



「巫兎くん、休憩室に行ったのではなかったのか?」

「休憩時間ならもう終わりましたよ。それよりも、副主任はここで何を?」

「もうそんな時間か、迷子になっていたので気づかなかった!ところで巫兎くん、キミを見習わせてもらえないだろうか?」



突然の言葉に、理解不能な巫兎が首を傾げると、大和は、ハジメに言われたことを巫兎に説明する。

だが勿論、巫兎は断った。
巫兎は大和より後輩であり、先輩に見習われるようなことはないからだ。



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