ONE PIECE
□擦れ違う想い
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「お昼ができたからプリンセスを呼びに来たよ」
「うん、ありがとう……。でも、今日は食欲ないからやめとくよ」
こんな気持ちで食欲なんてでるはずもなく、それにまた、サンジがナミやロビンと話す姿なんて見たくはない。
「具合でも悪いのかい?」
「ううん、何でもないの。ほら、皆待ってるだろうから行って」
「あ、ああ……」
自分のことを気にしている様子のサンジを追い出すように背を押すと、なんとか行ってくれた。
サンジがいなくなると、一気に不安や寂しさがハルを襲い、ベッドに横になると枕に顔を埋め、一人また余計なことを考えてしまう。
今サンジはきっと、またナミやロビンと仲良く話しているに違いない、そう考えただけで胸が苦しく締め付けられる感覚になる。
「ゾロの言う通り、このままだと私の身が持たないかもしれないよ……」
気にしないようにと自分に言い聞かせ、このままじゃダメだと気持ちを落ち着かせると、ハルはキッチンへと向う。
どうやら、皆はすでにお昼を食べ終えたらしく、キッチンではサンジが一人洗い物をしている。
声をかけようと中へ入ろうとしたそのとき、窓から見えたのはナミの姿だった。
ここからでは声は聞こえないため何を話しているのかわからず、気になりながらも隠れて見てるなんてよくないと思いその場を去ろうとしたとき、ハルの目に飛び込んできたのは信じられない光景だった。
「なんで……」
ハルはその光景に涙が溢れ出しそうになるのを必死で耐え、その場から走り去った。
脳裏にはさっきの光景がハッキリと浮かぶ、サンジがナミを抱き締める姿が。
やっぱりサンジは自分のことなんて好きじゃなかったんだと、現実を目の前に突きつけられた気持ちになる。
だが同時に、サンジが自分を傷付けないために付き合ってくれているのなら、もう終わりにしなければいけないのかもしれないと思った。
そしてその日の夜、夕食を済ませ皆がいなくなったキッチンで一人洗い物をするサンジへとハルは近付き声をかける。
「ハルちゃん、どうかしたのかい?」
「………別れよ」
「え……? どうしたんだい、急に」
本当はこんなこと言いたくない、でも、サンジのためにも、そして自分のためにもこうするしかない。