忍たま乱太郎

□髪結いから始まる恋
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「うわぁ!本当に綺麗な髪だねぇ。よく手入れされてる」

「ちょっ!?何勝手に触って、っ!?」



タカ丸は、音根の髪を一束掬うと、瞳をキラキラと輝かせながら言う。

止めようとする音根だが、今度は髪を撫でられ、まるで頭を撫でられているのと同じで頬に熱が宿る。



「こんな綺麗な髪始めてみたよ!ねぇ、髪結いさせてくれないかな?」



そう言いながらすでに髪結いの道具を構えており、音根の返事を待たずして、頭の上で束ねられていた髪紐はほどかれ、タカ丸の素早い手さばきで髪はあっという間に結われてしまう。

完成した髪を鏡で見ると、先程まで高い位置で纏め上げられていた髪は下で結われており、大人な女性といった雰囲気を感じさせる。



「す、凄い……!!ただ下で纏めただけに見えるけど、サイドの髪は編み込まれてるのね」

「よかった。気に入ってもらえて」



噂では、とても個性的な髪型にされることが多いと聞いていた音根だが、自分の今の髪型には大満足だった。

ただ、それとこれとは話が別であり、髪結いが終わったところで説教の時間だ。

タカ丸に正座をさせると、くの一の長屋に侵入したことなどを改めて叱る。



「今日は休暇で、ほとんどのくのたまが町に出ていたから気づかれずにすんだけど、もし知られたら罰則が課せられるんだからね!」

「あはは、ごめんなさーい」



おっとりとした性格のタカ丸を前に怒っていると、なんだか怒っているのがばかばかしくなり、これからは気を付けてくださいねと忠告する。

勝手にされたこととはいえ、素敵な髪型にしてくれたことの礼として今日だけは見逃すことにし、タカ丸には、くのたま達が戻ってくる前に忍たまの敷地に戻るように促す。



「うん、わかった。でも、戻る前に一つ頼み事があるんだけど」

「頼み事?」



目的は果たしたはずだというのに、その上頼み事とはなんだろうかと首を傾げると、とんでもない一言を残しタカ丸は去っていった。

呼び止める音根の声などタカ丸には届かず、音根は深い溜め息を一つ吐く。


そしてその日の夜、音根が風呂から上がり部屋に戻るとそこにはタカ丸の姿があり派手に転ぶ。



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