忍たま乱太郎

□その協力は誰の為
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「ただ顔に出やすいだけなので気にしないでください。それでは」



そういい去ろうとしたとき、ちょっと待ってよという声に引き留められ振り返る。

するとその忍たまは、先程音根が漏らした言葉の続きを聞いてきた。

だが、色の実習で困っているなど恥ずかしくて話せるはずもない上に、もし話したりして、さっきのようにこの目の前の忍たまと実習を考えているくのたまがいた場合、自分が今ここで話してしまったら、そのくのたまはこの忍たまに色の実習だと気づかれてしまうだろう。

何かいい言い訳はないかと考えていると、その忍たまの口から驚きの言葉が紡がれた。



「もしかして、キミも色の実習だったりして」

「っ、な、何故それを知って!?」

「ああ、それはね。さっき僕のところに来たくのたまの子が言ってたからだよ」



まさかの発言に、音根はそんなことあるはずないと口にする。

色の実習は相手の忍たまに知られてはいけないというルールだ、そのルールを破るはずがない。



「でも本当のことだから。あのくのたまの子、どうしても僕と実習をしたかったみたいで、全部話して頼まれたんだ」



そう言いながら、平然とした顔をしているその忍たまが言っている言葉が本当かは正直わからない。

だが、考えてみればあり得なくはない話だ。

どうしてもしたい相手、そう、相手が想い人なら、確実にするために全てを話して協力をしてもらうくのたまがいても可笑しくはない。



「そうですか。でも、その事を私に話してもいいんですか?私が先生に教えてしまうかもしれませんよ」



音根が先生に話してしまえば、この忍たまはその相手のくの一とできない上に、そのくのたまは何らかの罰、もしくは退学処分も有り得る。



「話したかったら話せばいいよ。僕には関係ないからね。それに、ルールを破って話したのはあのくの一なんだから、罰を受けるのは当然なんじゃない」



思いもしない返事に驚く音根だが、それよりも許せないのは、全てを知っているというのに、そのくのたまのことを関係ないというこの忍たまだ。

自分には想う相手などいないからよくはわからないが、お互いに知った上ですると決めたことを、目の前の忍たまは平然と裏切った。



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