忍たま乱太郎

□誤解が招いたhappyend 後編
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「すまないな、二人で食べているところを邪魔してしまって」

「気にしないでいいですよ。ね!」

「うん。それよりも、何か用があったんじゃ?」



接点などないこの三人だが、一つだけ仙蔵が声を掛けてきた理由はある。

それは、音根と文次郎のことだ。

案の定、仙蔵は昨日音根が文次郎の手伝いをしていたことについて話始めた。



「文次郎が最近疲れていたことには私も気づいていたんで気になっていたんだ。文次郎とは同室でもあるからな」



だが、昨日はよく眠れたお陰で、何時も以上に元気になっていたと仙蔵は安心したように話す。

だが、続けて言われた言葉に音根の頭上にハテナマークが浮かぶ。



「えっと、もう一度言ってくれるかな?」

「ん?ああ。文次郎のことが好きなだけあって、よく見ているなと思ってな」



文次郎のことが好きというのは、音根が文次郎のことをということで間違いないだろう。

勿論嫌いではないが、何故かその言い方に引っ掛かりつつも、音根ははいと笑みを浮かべ頷く。

そして、その仙蔵の言葉に引っ掛かりを覚えたのは親友も同じであり、三人夕食を済ませ別れた途中で、親友は用事を思い出したからと、音根に先に部屋に戻ってもらうように伝えその場から走り去ってしまう。



「そんなに急ぎの用事でもあったのかな?」



親友の走り去った方向を見つめ首を傾げる音根が、その足を自室へと進める。


そしてその頃、親友はというと、あの食堂での言葉が気になり、仙蔵の元へと走っていた。

見えた仙蔵の背に声をかけると、親友は肩で息をしながら食堂での会話について詳しく聞いてみる。
するとやはり、親友の予想は的中していた。

どうやら仙蔵は音根は文次郎に思いを寄せていると思っていたらしく、前の言葉も告白として考えていたようだ。

その上、意外にもそのことを文次郎も気にしていたようで、あれは告白などではないと仙蔵に否定していたらしいが、その顔は真っ赤だったらしい。

まさか、同じ様な会話が文次郎と仙蔵の間でもされていたということには親友も驚きが隠せない。

取り敢えず、仙蔵の誤解を解いておこうと説明をするが、実際は本人が気づいていないだけで音根は文次郎のことが好きなのではないかと親友は考えている。

そしてそれは仙蔵も同じであり、あの日以来、文次郎の様子が可笑しく、昨日など嬉しそうにしていたという。

その理由は、音根が委員会の手伝いをしに来てくれることになっていたからなのだと、後から仙蔵は知ったわけだが。



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