忍たま乱太郎
□視線の先には
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「あ、ならタカ丸さんに協力してもらったらいいんじゃないか?」
「タカ丸さんは風明先輩と仲がいいんですか?」
「そっか、守一郎は途中から来たから知らないんだったね。タカ丸さん、風明先輩とは同じ火薬委員で仲がいいみたいだよ」
首を傾げている守一郎に喜八郎が教えると、どうやら滝夜叉丸も知らなかったらしく、タカ丸に頼み込んでいる。
そんな滝夜叉丸に、タカ丸はふにゃりとした笑みを浮かべながらいいよと頷く。
「じゃあ、今から六年生の長屋に行こっか」
「えッ!?今ですか!?」
「うん。丁度音根ちゃんに用事があったところだから」
今から音根に会えると思うだけで、滝夜叉丸の胸は早鐘を打ち、ご飯を掻き込むようにして食べ終えると、早速二人六年の長屋へと向かう。
あの日以来、見かけることしかなかった音根とまた会って話せるのだと思うと足が軽く弾むようなのだが、その前に一つ、滝夜叉丸には気になることがあった。
「何でお前らまで着いてきてるんだッ!!」
「滝夜叉丸にここまで思わせる相手がどんな人物なのか興味あるからな。まぁ、ユリコには敵わないだろうがな」
ユリコとは、三木ヱ門が何時も紐を付けて持ち歩いている石火矢であり、他にも名前をつけている物も存在する。
因みに石火矢とは、昔の大砲であり、火薬の力で小石や鉄片を飛ばす武器のことをいう。
その大砲に三木ヱ門は名前をつけており、とくにユリコとは毎日一緒にいる。
勿論現在も、石火矢のユリコを引きながら廊下を歩いている。
どうやら皆、滝夜叉丸にここまで思わせる相手が気になるらしく、結局皆で音根の部屋に来てしまった。
戸が開いていたためタカ丸が声をかけると、そこには音根の姿があり、どうやら同室である伊作と留三郎の姿はないようだ。
「あ、タカ丸くんどうしたの?」
「うん。今日あるはずだった委員会の集まりがなくなった報告をしに来たんだ」
「そうなんだ。わざわざありがとうね」
「それと、皆が音根ちゃんと話したいんだって」
皆とは一体誰だろうかと首を傾げていると、タカ丸の背後から数人の忍たまがひょっこりと顔を覗かせる。
装束の色で、タカ丸と同じ四年生の忍たまだとわかった音根は、皆を部屋の中へと招き入れた。
「今丁度、伊作くんも留三郎くんも出掛けてるから。えっと、話したいことってなにかな?」
小首を傾げる仕草や優しい言葉遣い。
それは、男勝りなくの一教室のくのたまとは天と地ほどの差があるほどだ。
女で忍たまなんてどんな男勝りな人物なのだろうかと思っていた三木ヱ門も、予想していなかった自体だ。
勿論、滝夜叉丸とタカ丸以外は、こうして話すのは初めてのため、皆三木ヱ門と同じで驚きが隠せずにいる。
そんな誰も口を開かない中、音根は滝夜叉丸と目が合い、あっ、と声を上げた。