忍たま乱太郎

□違うようで似ている二人
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「更に赤くなってないか?」

「な、何でもないから気にしないでちょうだい」

「そうか?ならいいんだけどさ。でも、なんか怒ってたよな?」



何故こんなにも鋭いのかと思うほどに、八左ヱ門は的確な言葉ばかりを音根に投げ掛けてくる。

勿論この言葉にたいしても、何でもないから気にしないでと答えるが、八左ヱ門は音根が何か隠してるんじゃないかと疑い始めてしまう。



「はぁ……。誰にも内緒にしてくれる?」

「勿論だ」

「なら話すけど、実は、かくかくしかじかで」



さっき兵助が自分の皿を奪い取って豆腐を食べたことが間接キスみたいで恥ずかしかったことや、兵助が豆腐のことばかり話すから、兵助の豆腐が美味しくないといつも言っていることなどを話すと、八左ヱ門は何かを納得したのか頷いている。

ここまで話してしまったら、兵助の事が好きだと言っているようなものだが、あまりにも真っ直ぐで優しい笑みを浮かべる八左ヱ門につい話してしまった。



「なるほどな、やっぱりそうだったのか」

「え!?八左ヱ門気づいてたの?」



自分は顔に出やすい方だが、人前ではなるべく顔に出さないようにしていたつもりだというのに、まさか八左ヱ門に気づかれていたということは、他の皆にも自分の兵助への気持ちが知られていたんじゃないかと一気に恥ずかしくなる。

もしかしたら、兵助にだって気づかれていたのかもしれないと思うと、これからどう話せばいいのかわからなくなってしまう。

そんなことを一人考えていると、思いもしない言葉が耳に届いた。



「やっぱり音根は兵助のことを嫌ってた訳じゃなかったんだな」

「へ?」

「なんか皆はさ、音根が兵助にたいして冷たいのは、なんか兵助が音根にしたんじゃないかって言ってたんだ」



勿論、音根は兵助に何かされて冷たく当たっていた訳ではないため、皆が聞いても怒らせた心当たりなど兵助にはなく、知らず知らずのうちに何かしたんじゃないかと五年生達で話していたらしい。

だが、八左ヱ門だけは違っていた。
もし本当に嫌っていたり怒っていたりするなら、そもそも声すらかけないだろうと思ったからだ。



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