忍たま乱太郎
□湖の逢い引き 前編
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「利吉さん?え、休まれていたはずでは」
「ええ。ですが、風明さんが出掛けていくのが見えたので後をついてきたんです」
何故、後なんてついてきたのだろうかと不思議に思うが、今はそんなことよりも、利吉に運ぶのを手伝ってもらえないか頼むと、利吉は嫌な顔一つせず、逆に笑みを浮かべ、勿論手伝わせていただきますよと言ってくれる。
利吉後からも借り、無事に忍術学園まで運ぶことはできたが、ゆっくり休んでもらうはずが手伝いまでさせてしまって、申し訳なさで一杯だ。
「ここで大丈夫ですか?」
「はい……」
荷車を置くと、様子が可笑しい音根に気づいた利吉が、どうかされましたかと尋ねてくる。
「手伝ってくださってありがとうございます。特別授業や任務でお疲れなのに、こんなことに手伝わせてしまって……」
「そんなことを気にされてたんですか?」
「そりゃ気にしますよ!」
真剣な音根の瞳に、利吉は何かを思い付いたかのように口を開いた。
「でしたら、今日のお礼として、この後僕に風明さんの時間をいただけませんか?」
「それは構いませんけど」
時間をほしいなんて、一体何をするつもりなのだろうかと首を傾げていると、じゃあ早速いきましょうかと、利吉は音根の手を握り歩き出す。
一体何処へ行くのか尋ねても、利吉は内緒ですと言い教えてはくれず、裏裏山まで来たところで、すでに空には一番星が輝いていた。
それからしばらく歩き、ようやく利吉の足が止まると、音根へと振り返り着きましたよと言う。
道が道だったために足元ばかり見ていた音根が、利吉の言葉で顔を上げると、そこには湖があった。
「うわあ!!綺麗……!!」
「この場所は、忍たまの良い子達から聞いた場所なんですが、夜に来るととても綺麗なので風明さんに見てもらいたかったんです」
湖には、月や星が映し出されており、夜のはずなのにこの場所だけは輝いて見える。
だが、もうすでにこんなに遅くなってしまったため、まだ見ていたいところだが早く忍術学園に戻らなければならない。