忍たま乱太郎
□恋敵はユリコ
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「いた!」
三木ヱ門を見つけた音根は声をかけようと近づくが、途中で足が止まってしまう。
三木ヱ門にかける言葉が見つからず、どうしようかと悩んでいると、その間に三木ヱ門の姿は消えてしまっていた。
「うぅ……。私のバカ……」
「私に何か用か?」
「ッ!!み、三木ヱ門様!?」
直ぐに声をかけなかった自分に後悔していると、突然想い人の顔が目の前に現れ、後ろに下がってしまう。
突然のことについ、何時もの癖で様をつけてしまうと、三木ヱ門は何で様なんだと笑った。
「あ、えっと、それは、その……」
「それより、私に何か用があるんじゃないのか?最近ずっと私のことを見てただろう」
「え!?き、気づいてたんですか」
一気に恥ずかしくなり頬が染まると、三木ヱ門の手が音根の頬に触れる。
動けず固まる音根に、具合でも悪いのかと尋ねる三木ヱ門の距離は近く、鼓動が煩く高鳴ってしまう。
「そんなところで何をしてるんだ?」
かけられた声に三木ヱ門の手が音根の頬から離され、二人の視線はその声の主へと向けられた。
そこにいたのは、三木ヱ門と同じ色の装束を着る忍たまであり、四年生であることはわかるが、音根は三木ヱ門以外の忍たまを知らないため誰なのかわからない。
チラリと三木ヱ門に視線を向けると、その表情はどこかムッとしている。
「滝夜叉丸か、お前こそこんなところで何してるんだ?」
「私は自分の素晴らしさについて他の忍たま達に語ってきたところだ。ところでそこの、私の次に綺麗なくのたまは誰なんだ?」
「彼女は、くの一教室の風明 音根だ。で、音根、こっちが……まぁ、覚える必要もないな」
どうやら仲が悪いのか、二人が喧嘩を始めてしまったためおろおろとしていると、伸ばされた手が音根の手を掴む。
すると、男は三木ヱ門のことなど無視し片膝をつくと自己紹介をする。
名前は平 滝夜叉丸(たいらの たきやしゃまる)というらしく、何やら自分の素晴らしさについて語り始めてしまった。