忍たま乱太郎

□恋敵はユリコ
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「こいつは話し出すと長いからな。音根、あっちにいこう」

「え?でも……」



放っておいていいのだろうかと気にしつつも、三木ヱ門に腕を引かれてしまえば足はその場から遠さがる。

握られている腕に神経が集中してしまい、再び顔に熱が宿ってしまいそうになる。



「ここまで来れば大丈夫だろう。で、話を戻すが、私に何か用────」

「あれー?誰かと思えば三木ヱ門じゃない。それと、えっと、そっちのくのたまは?」



またも三木ヱ門と同じ色の装束を着た忍たまが現れると、何やら三木ヱ門は苛立った様子で音根の腕を掴み再び歩きだす。

スタスタト歩く三木ヱ門に腕を引かれながら振り返ると、声をかけてきた男は不思議そうに首を傾げていた。


それからしばらく歩き離れた場所まで来ると、三木ヱ門の足が止まる。

一体どうしたのだろうかと思いその背に声をかけようとすると、掴まれていた腕から手が放され、三木ヱ門は音根へと向き直る。



「すまなかったな、話を戻そう。音根は私に何か用があったんじゃないのか?」

「は、はい……」



思いを伝えるなら今しかないが、気持ちを伝えようとしても声が出てはくれない。

そんな音根を真っ直ぐに見つめるその瞳に今更鼓動が早鐘をうち始め、恥ずかしさのあまりに何も言わず、音根はその場から走り去ってしまった。

部屋に戻った音根は、折角のチャンスを無駄にしてしまったことを後悔し、部屋の隅で丸まるまっていると、戸が開かれ胡桃が入ってくる。



「その様子だと、上手くいかなかったみたいね」

「胡桃……」

「ほら、そんな悲しい顔しないの!音根には似合わないわよ」



胡桃に励まされ、先程あったことを全て話すと、胡桃は何かを納得したように頷いている。

すると突然音根の腕を掴み引っ張ると、行くよと一言言い、何処かへと歩き出す。



「胡桃?一体どこに」

「滝夜叉丸のところに行くのよ」

「え?滝夜叉丸って、三木ヱ門様と同じ学年の?」



わけがわからないまま連れていかれると、そこには千輪をくるくると回している滝夜叉丸の姿があった。

ちなみに千輪とは、全長10〜30cm程度の中心に穴のあいた金属製の円盤となった物であり、外側に刃が取り付けられている。
輪の中心の穴には人差し指を入れて回転させ、勢いを付けて投げるのが一般的とされている。
他にも、円盤を指で挟んで投げるという方法もあり、射程距離は大体30〜50m程。
その切れ味は30m先にある直径2cmの竹を切断する程だ。



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