忍たま乱太郎

□恋敵はユリコ
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「すまなかった……」

「え?」

「敵ではない者に向けたことは反省する。だが、音根も悪いんだからな!!」



何故そこで自分が関係するのかわからず首を傾げる音根に、三木ヱ門は視線を逸らすと呟くように言葉を漏らした。



「音根が滝夜叉丸と楽しそうに話しているから私は……」

「三木ヱ門くん?」



ゴニョゴニョと一人呟く三木ヱ門が何を言っているのか聞き取れず名前を呼ぶと、ハッとした三木ヱ門の顔が真っ赤に染まる。

すると、何か怒らせてしまったのか、もういいと言い残し、三木ヱ門は音根に背を向け去ってしまう。

そんな三木ヱ門の背を見つめ、何か怒らせるようなことをしただろうかと考えていると、視界にユリコの姿が入る。



「三木ヱ門様、ユリコ忘れてる」



何時も傍に連れているユリコを忘れるなんて、自分は余程三木ヱ門を怒らせたに違いないと思った音根は、兎に角謝らなければと、ユリコを連れて三木ヱ門の後を追いかけた。

ユリコを引きながら何とか追いつくと、音根はユリコを三木ヱ門に渡す。



「わ、私がユリコを忘れるなんて……。ユリコーッ!!すまなかった!!」

「あの、三木ヱ門くん、さっきは――」

「音根、ユリコを連れてきてくれて感謝するぞ。では、私はこれで失礼する」



結局謝ることはできなかったが、何故か何時もの三木ヱ門に戻っており、さっき怒っていたのは何故だったのだろうかと不思議だけが音根の中に残った。

そんな不思議が晴れる日が、この先にはあるのだろうが、それはまだ先のこと。

だが、それより先に知ることになるのは、胡桃が業と三木ヱ門を滝夜叉丸と音根の元に向かわせたことだ。

その理由を聞く音根だが、胡桃は内緒とだけ言いそれ以上は答えてくれない。



「もう、胡桃の意地悪!!」

「まぁまぁ、そう怒らないでよ。それより、あの後なにかあったんじゃない?」

「ええ。何故か三木ヱ門様が怒ってたのよね。それに、ユリコを忘れていっちゃうし」



不思議そうに話す音根の様子をニヤニヤとしながら見る胡桃は、全ての理由を知っている。

だが今は、三木ヱ門の一番はユリコということにしておこうと、静かに音根の話を聞くのだった。



恋敵はユリコ
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