忍たま乱太郎
□歌姫は赤く染まって 後編
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「俺が協力してやってもいいぞ」
「本当か、勘右衛門!?」
「僕だけじゃいい考えが思いつかなかったから、勘右衛門も協力してくれるならいい考えが浮かぶかもしれないね」
考える頭が三人いれば何かいい考えが思いつくかもしれないと喜ぶ兵助に、ただしと付け足しの言葉が聞こえる。
どうやらタダで協力する気はないらしく、一体どんな要求がされるのだろうかと身構えるが、この際何でも来いという勢いでその条件を聞く。
「俺が何をしても、手出ししないってのが条件」
「どういうことだよ?」
首を傾げる兵助に勘右衛門は、二人の時間が増やせるいい方法があるんだと口にする。
一体どんな方法か尋ねる兵助だが、それは内緒と言い教えてはくれない。
だが、このまま雷蔵と二人で考えてもいい考えが浮かぶとも思えず、その条件を呑むことにした。
「それじゃあ、早速始めるか!」
そう言い勘右衛門は立ち上がると、音根と六年生が話す方へと行ってしまう。
一体どうする気だろうかと見ていると、勘右衛門は六年生の元から音根を連れ出し二人食堂を出ていってしまう。
思った通り六年生はムッとした表情を浮かべていたが、それよりも今は、一体二人は何処へ行ったのか気になる。
「雷蔵、俺用事があるから先に行くよ。相談に乗ってくれてありがとう」
そう言い食堂から飛び出していく兵助の背を見送る雷蔵は、兵助が二人を追いかけていったのだろうということは直ぐにわかった。
だが、これ以上は自分の出番はないだろうと、後は勘右衛門に任せ雷蔵は箸を進める。
その頃兵助はというと、二人を追い校庭に来ていた。
見つからないように隠れて二人の様子を窺っていると、何やら音根の表情がコロコロと変わる。
一体何を話しているのだろうかと内容が気になるが、兵助がいる場所からでは聞き取ることができない。
二人の様子を見ていると、何やら勘右衛門の言葉に音根は頬を染め頷くと、二人は別れてしまう。
「一体なんの話をしてたんだ」
気になった兵助は勘右衛門の後を追い話を聞こうとするが、やはり秘密と言うだけで教えてもらえない。
何を考えているのかわからない勘右衛門の行動だが、翌日兵助はあの時二人が何を話していたのか知ることになった。
それは、勘右衛門と音根が付き合いだしたという噂だ。
まさかそんなはずはないと思っていた兵助だが、食堂に二人が一緒にやって来るのを見て、噂が確信に変わっていった。
それは周りも同じであり、噂が事実であることを知った皆は、音根にちょっかいを出さなくなった。
だが、まさかこんな方法を勘右衛門がするとは思わず、先に兵助は部屋に戻ると、勘右衛門が戻るのを待つ。
しばらくして戻ってきた勘右衛門に話を聞こうとしたが、一緒に入ってきた人物を見て言葉を呑み込む。