ONE PIECE

□二人の兄
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 今、目の前では、ルフィとエースがハルのことで喧嘩の真っ最中だった。



「ハルは俺のだ!!」

「いいや俺のだ!!」



 何故こんなことになっているかと言うと、昨日航海の途中で寄った島で、ルフィのお兄さんであるエースと出会ったことが切っ掛けであり、向かう先が一緒だったため、ハル達と同行することとなったのがそもそもの始まりだった。

 その日は直ぐ船を出航させたのだが、エースという客人がいるということで、サンジが沢山のご馳走を作り、昨夜は宴となった。

 ハルは普段から少食のため、少し食べると船尾甲板へと向かい、夜風にあたっていたのだが、背後から声をかけられ振り返ってみると、そこには、お肉を片手に持つエースの姿があった。



「確か、ハルだったか?あんたはもう食わねェのか?」

「私はあまり食べないので。エースさんは、皆と一緒にいなくていいんですか?」

「食いもんは一杯食ってきたし、あいつらは酔い潰れちまってるから構わねェだろ」



 エースはそう言いながらハルの横へと来ると、ニッと笑って見せた。

 ルフィからエースの話は聞いたことはあるが、こうして会うのは初めてで、何を話したらいいかわからず無言でいると、最初に口を開いたのはエースだった。



「さっき、あんたのことルフィから聞いたんだが、ルフィの妹なんだってな」

「なッ!? 違いますよ!! ただルフィが勝手にそう言ってるだけであって」



 麦わらの一味になって間もない頃、ハルはルフィよりも落ち着きがなく、島に着けばルフィや皆より先に船から降りては行方不明になったりとしていた。

 その度に、皆がハルを探し、よく迷惑をかけていたことが思い出される。

 そしていつしか、ルフィがそんなハルの面倒を見るようになり、まるで妹だな、というゾロの一言から、ルフィはハルのお兄ちゃん気分なのだ。

 今はもう行方不明なるようなことはないのだが、ルフィにとってはまだ、ハルは妹扱いで、出会う人出会う人に妹だと紹介されてはハルが訂正をしている。



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