忍たま乱太郎

□浮かれる恋と続く友情
1ページ/5ページ



明日はバレンタイン。
女の子が男の子にチョコをあげる日なのだが、何故かここ久々 知平助(くくち へいすけ)の家では、平助が豆腐を作っていた。

作った豆腐を綺麗にカットすると、回りをチョコでコーティングし皿に乗せる。
そしてその皿をリビングで待つ尾浜 勘右衛門(おはま かんえもん)の目の前に置き、食べてみて、と緊張した様子で見詰める。

いただきますと手を合わせると、勘右衛門は箸で豆腐を掴み口へと運ぶ。



「どうかな?」

「う〜ん……不味くはないけど美味くもないかな」



やっぱりダメかと落ち込む平助に、元気を出せよと励ます勘右衛門。

この二人が何をしているかというと、平助が想い人に逆チョコをしたいというので、勘右衛門はそのチョコの味見に付き合っていた。

平助といえば豆腐好きで有名であり、その豆腐好きはバレンタインにまで影響を及ぼしていた。
普通のチョコを作れば簡単な話なのだが、平助は自分が好きな豆腐でアレンジしたチョコを贈りたいと、バレンタイン2週間前からこの調子だ。

すでに明日がバレンタイン当日。
今日中に完成させなければバレンタインに間に合わなくなってしまうため、勘右衛門は今日も学校帰りに平助の家に来て味見をしている。



「明日がバレンタインなのにどうしよう」

「元気出せって、付き合うからさ」



結局その日、勘右衛門は平助の家に泊まり、何とかバレンタインに豆腐チョコを間に合わせることができた。

一緒に学校へ向かう途中、聞いていなかった相手のことを尋ねると、平助は頬を染め顔を背けてしまう。

顔もよく成績も優秀ともなれば女の子の人気も高いのだが、平助が恋をした話など聞いたことがなかった。
そのため、今回のバレンタインのことも聞いたときは驚いたが、一体平助を落とした女の子がどんな子なのか気になる。



「実は、俺が好きなのは音根ちゃんなんだ」



その瞬間、時間が止まったような感覚が勘右衛門を襲う。

平助の想い人は勘右衛門と同じクラスの音根だった。

勘右衛門と音根は同じクラスで仲良くなり、そんな勘右衛門と仲のいい平助に音根を紹介すると直ぐに仲良くなった。

クラスは違うが3人で遊ぶことも増え、勘右衛門は仲の良い3人組という感覚だったのだ。
だが、まさか平助が音根に恋をしていたなど思いもしなかった。



次へ
前の章へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ