忍たま乱太郎
□その名は
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タソガレドキ忍軍に、新しく入ってきた忍者は女だった。
普通女はくの一になるものだが、変わった女もいるものだと思い笑うと、何が可笑しいんですかと女は言う。
「いや、何故あんたはくの一じゃなく忍者になったのかと思ってな」
「女の忍者がそんなに可笑しいですか?実力さえあれば、私は誰でも忍者になれると思いますけど」
鋭い視線が向けられ、どうやら怒らせてしまっただろうかと苦笑いを浮かべる。
軽くごめんねと謝れば、慣れてますからと言い姿を消した。
「風明 音根、ねぇ」
一体女の忍者がどこまでできるものかと、最初は興味本意だった。
だが、音根は一度も任務にミスをすることはないまま、周りからも驚きの声耳にする。
中には、女のくせにとよく思わない者もいたが、実力が違いすぎるのだ。
一度、任務の際に昆奈門と音根は共に行動したことがあった。
だが、音根は昆奈門の指示を完璧なまでにこなし、今までは手間取った仕事だったというのに、ものの数刻で終えることができた。
そんな音根のことを高く評価した昆奈門だが、音根はただ一言、言われたことをしただけですと答え姿を消す。
それから数ヶ月の月日が過ぎたある日、昆奈門は音根と共に木上にいた。
「あの、一体こんなところで何を……」
「ほら、来たよ」
そう言いながら視線を向ける先には、忍術学園の忍たまの姿がある。
見たところ、六年生と一年生のようだが、それがどうしたのかと尋ねるように音根は昆奈門に視線を向ける。
口許に指を当てているということは、どうやら気づかれるなということなのだろうと理解した音根は、取り敢えず忍たま達が去るのを待つ。
「伊作先輩、ここじゃないみたいですね」
「そうだね。もう少し先かもしれないな」
そう言いながら去っていく忍たまを見送ると、音根は一体今日の任務は何なのかと昆奈門に尋ねる。