忍たま乱太郎

□誤解が招いたhappyend 前編
1ページ/5ページ



六年い組、潮江 文次郎(しおえ もんじろう)は、忍術学園一ギンギンに忍者をしている忍たまである上に、会計委員の委員長、またの名を、地獄の会計委員長とも呼ばれている。

そんな文次郎の目の下にはいつも隈があり、見慣れた皆は気にしていないようだが、ここに一人、その隈を心配するくのたまがいた。



「気になる……」

「音根、また潮江くんのこと?」

「うん。だって、ほら見てよあの隈!また酷くなってるよ!?」



食堂にて、文次郎から少し離れた席で食事をとるくのたまの二人。

文次郎の隈を先程から気にしているのは、くのたま上級生の風明 音根。
そしてその隣で呆れながらも音根の話を聞いているのは、音根と同じくくのたま上級生であり音根の親友。

食堂に来る時間がいつも文次郎と重なり、次第に音根は文次郎の隈が気になりだし、毎日のように食堂ではこの話だ。



「潮江くんの隈なんて何時ものことじゃん。あんま気にしない方が」

「何時ものことだから気になるのよッ!!」

「しー!!しー!!音根、声大きいよ」



親友に言われハッとし周りを見ると、皆の視線が音根に集まっており、その中には文次郎の姿もある。

勢いでいつの間にか自分が立ち上がっていることに気づき、音根は食べ終わった膳を片付けると逃げるように食堂を去った。



「もう……。何で皆気にならないのよ」



自分が気にしすぎなだけなのだろうかとも考えるが、やはり目に入れば気になってしまう。

ギンギンに忍者をして、会計委員でも地獄の会計委員長と呼ばれるほどの人物だ。
きっとあの隈の原因はそれなんだろうとは思うものの、くのたまと忍たまではなかなか会う機会もなく面識すらない。
そんな相手にいきなり声をかけるなんて勇気は自分にはなく、今日も隈のことを気にしつつもくの一教室に向かう。

今日は午前中の授業だけしかなかったため午後からは暇となり、くのたまと忍たまの共用区域である場所を散歩していると、ふと、今朝の文次郎の隈が頭に浮かぶ。



「少しだけなら、いいよね」



本当は、忍たまとくの一の共用場所は限られているため、許可なく忍たまの敷地内やくの一の敷地内に入ることは禁止されているのだが、音根はこっそりと隠れながら文次郎を探す。

見つけて隈のことを言うわけではないのだが、やはり気になるため様子だけでも覗けたらと思ったのだ。

だが、忍たま達も午前の授業しかなかったため、忍たまの数が多く隠れながら動くのはかなり難しい。



次へ
前の章へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ