忍たま乱太郎
□誤解が招いたhappyend 後編
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翌日の夕刻、授業も終わり夕食を食べに食堂に親友とやってくると、そこには文次郎の姿がある。
よく見ると、隈が少し薄くなっていることに、音根はほっと胸を撫で下ろす。
「よかった、少しは休めたみたいで」
「隈は相変わらずあるみたいだけどね。あ、潮江くんこっちに気づいたみたいだよ」
文次郎は立ち上がると二人の元へとやって来て、音根に申し訳なさそうに謝罪と感謝の言葉を伝える。
どうやら、昨日寝てしまったことや、休日を使わせてしまったことを悪く思っているようだ。
「いえ、そんな。私がしたくてさせてもらったことだから。それに、少しは休めたようでよかったよ」
「あ、ああ。あれだけあった仕事があんなに早く片付くとは思わなかった。これも風明のお陰だな」
仲良く昨日の話をする二人だが、文次郎が音根の隣にいるくのたまに気づくと、邪魔をして悪かったなと言い残し食堂を後にした。
そのあと親友はニヤニヤと笑みを浮かべていたが、どうしたのと尋ねても、べつに〜と言うだけで答えてはくれない。
親友の中では、もしかすると文次郎も音根を好きなんじゃないかという考えが浮かんでいたのだが、これを伝えたところで音根は信じないだろう。
その上、文次郎が脈ありかどうかは直接本人に聞いたわけではないため、適当なことも言えない。
だが、音根と話すときや音根の笑顔を見たときの文次郎の反応は、端から見ればわかりやすいほどに、他の人に向けるものとは違っていた。
この事に気づいているのは、今は親友ただ一人だろう。
「ここ、いいだろうか?」
夕食を食べているときに声を掛けてきたのは思いもしない人物であり、平然と、どうぞという音根とは違い、親友はその人物をじっと見つめたまま口を咥んでしまう。
それもそのはずだ、まさか声を掛けてきた人物が仙蔵であり、音根の隣の席に座っているのだから。
やはり実際の人物はかっこよく、これが女に人気の男かと納得する。