忍たま乱太郎
□自分にしか出来ないこと
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音根が忍たま乱太郎の世界にトリップをして早一月。
最初はこの世界を楽しんでいたりしていたものの、忍術学園の生徒と共に合戦を見に行った際、音根は恐怖を感じた。
忍術学園での生活は楽しく危険な時代なんてことも忘れ、ほのぼのとした日常を送っていたが、この世界の現実を目の前にし、今では自分のいた世界に早く帰りたいと思っていた。
「私、帰れるのかな……」
合戦を見学した日から早くも一週間と過ぎるが、元の世界に戻れる手がかりなど何一つない。
ほのぼのと過ぎる日々の中、この世界の何処かでは戦が行われている。
そう考えてしまうと、とても悲しく辛い現実が突きつけられてしまう。
「はぁ……。て、あれってもしかして……?」
そんなことを考えながら歩いていると、いつの間にか裏庭まで来てしまい、地面に倒れている人物に気づき駆け寄る。
そこに倒れていたのは、忍術学園の剣術師範である戸部 新左ヱ門。
「戸部さん、大丈夫ですか!?」
「は、腹……空い、た」
「た、大変!!ちょっと待っていてくださいね。今食堂のおば様におにぎりを作ってもらってきますから」
新左ヱ門は、剣豪と呼ばれるほどの刀の使い手だが、空腹になると刀すら持てないほどに力が出なくなってしまう。
そのため、こうしてよく倒れているのを皆が見つけては食堂へ運んでいる。
今回は、周りに音根以外の人がいなかったため新左ヱ門を食堂まで運ぶことができず、音根は慌てて食堂へと走る。
「戸部さん、おにぎりです」
「かたじけない……」
新左ヱ門はおにぎりを受け取ると、慌てて口に頬張り完食する。
「よければお水もどうぞ」
「すまない」
竹筒に入れてきた水を手渡すと、新左ヱ門はゴクゴクと水を飲みきってしまう。
一体いつから剣術の修行をしていたのかはわからないが、こんなにお腹が空くまで集中して剣術に励む新左ヱ門は凄い。
だが、毎回この調子では心配にもなってしまう。