忍たま乱太郎

□知って知らずも苦しい心情
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忍術学園には、委員会というものが存在する。

委員会は全てで九存在しており、委員会に参加する者は、くのたまを除いた忍たま一年から六年だ。

だがそんな中でただ一人、忍たまの中で女がいた。

勿論周りで音根が女だということは知らされておらず、忍たまである音根も委員会に参加している。

この事は、忍たまやくのたま生徒だけでなく、先生や学園長にも知らせていない。

男として転入した音根は、仕草は勿論全てを男らしくするように研究して忍術学園に入ったため、今のところはバレている様子はない。



「伊作、包帯巻き終わったぞ」

「ああ、ありがとう」



善法寺 伊作(ぜんぽうじ いさく)は、音根と同じ六年は組であり、同じ保健委員に所属する、保健委員会委員長だ。

検便を集めるという仕事から、誰も保健委員を買って出る者がいないため、保健委員は不運な生徒がなるという法則が生まれていた。

そして、現役保健委員も不運な生徒が集まっており、不運委員会と呼ばれている。

その中の一人が音根なのだが、保健委員でただ一人、音根だけは不運ではなかった。


そんな音根と伊作のいる医務室に、足音と言い合う声が近づいてくると、戸が勢いよく開かれた。

喧嘩をしながら医務室に入ってきたのは、六年い組、会計委員会委員長、潮江 文次郎(しおえ もんじろう)と、音根、伊作と同じ六年は組の用具委員会委員長、食満 留三郎(けま とめさぶろう)だ。



「俺が先だ!!」

「いいや、俺が先だ!!」



何故か喧嘩をしている二人はボロボロであり、擦り傷などの怪我をしている。

そんな二人に気づいた伊作が手当てをしようとするが、文次郎と留三郎は、同時に音根に詰め寄る。

手当てを頼むという二人の声が重なり、再び喧嘩を始めてしまう。



「ちょっと二人とも、早く手当てをしないと!留三郎は僕が見てあげるから、文次郎は────」

「そうだ留三郎、お前は伊作に見てもらえ!」

「お前が伊作に見てもらえばいいだろうが!!」



慌てて止めようとする伊作だが、どうやら二人は音根に手当てをしてもらいたいらしく、どちらが手当てをしてもらうかで揉めているようだ。

お互いに、お前は伊作にしてもらえと言い合う言葉が繰り返され、これでは手当てどころではない。

この二人の喧嘩を止める方法などなく、このままではお互いに武器を出し始めてしまうかもしれないと思っていたその時、そんな二人の喧嘩を止めたのは音根だった。

音根は二人の腕を掴むと、喧嘩より手当てが先だと言い、無理矢理二人を座らせた。



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