忍たま乱太郎
□歌姫は赤く染まって 後編
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親睦会が終わって以降、音根は五年生の五人と仲良くなっていた。
誤解が解けたことにより話す機会も増え、皆にも音根の良さがわかってきたようだ。
だが、そこで一つ問題ができてしまった。
五年生の皆と音根の仲が良くなったことで、次第に他の忍たまやくのたまとも話せるようになり、前のような噂はもうされなくなっていた。
そこまではよかったのだが、音根と話すことにより今まで気づかなかった音根の魅力に惹かれる者が出始めてしまい、そんな皆のアプローチもあり、兵助は音根と話す時間が減ってしまっていた。
「凄い顔してどうしたの?」
食堂で口を尖らせ拗ねたような顔をした兵助を見かけ、雷蔵が声をかけた。
一体どこを見ているのだろうかと、兵助の視線の先を見て納得する。
「ああ、風明さん。最近人気だよね」
「ああ、ムカつくくらいにな」
少し離れた場所で、音根は六年生に囲まれ朝食を食べていた。
何を話しているのかはここからでは聞き取ることができないが、見ている限りでは楽しそうだ。
だがその光景は、音根に想いを寄せる兵助からしたら嫌なものだろう。
「まぁいいんじゃない。兵助だって風明さんの誤解が解けて皆と仲良くなることを望んでたんだろ?」
「そうだけどさ、風明さんと話せる時間が前より無くなるのは嫌なんだよ」
雷蔵が知る限り、最近兵助は音根と話していない。
話していないと言うよりも、正しくは話せていないと言った方が正しいだろう。
声をかけようにも、音根の回りは主に忍たまが囲んでおり声をかけれる隙などない。
「気にせず声をかけたらいいんじゃないかな?」
「そんなことしてみろ、六年生に睨まれるだけだ」
音根に想いを寄せているのは、今や下級生に上級生両方だ。
そして今音根の回りにいるのは上級生達であり、そんなところに兵助が行けば上級生の恨みをかうだろう。
どうするべきかと二人悩んでいると、そこに現れたのは勘右衛門だった。
「何悩んでるんだ?」
二人だけではいい案も出ず、ここは他の人の意見も聞きたいところだが、兵助が音根に想いを寄せていることを知っているのは雷蔵だけであり勝手に話すこともできず黙ってしまう。
同じく兵助も話すべきか悩んでいるらしく黙っていると、勘右衛門は何かを納得したようにふーんと頷く。
「なるほどねぇ。兵助は風明さんを取られて妬きもちを妬いてるってところか」
「っ、な、何でわかるんだよ!?」
「そりゃぁ同室だしなぁ」
勘右衛門椅子に座ると、ニヤニヤしながら兵助を見ると口を開く。