ONE PIECE
□擦れ違う想い
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「はぁ……」
「どうしたんだ? 何処か悪いなら見てやるぞ」
また声に出してしまった溜息を誰かに聞かれてしまったらしく顔を上げると、そこにはチョッパーの姿があった。
「ありがとう、チョッパーちゃん。でも、何でもないから気にしないで」
「そうか? ならいいんだけど、何かあったら言えよ」
そう言うとチョッパーは、船内へと戻っていく。
なんだかさきほどから、皆に心配をかけてしまっているような気がし、溜息ばかり吐くわけにもいかないと思い、ハルは心を落ち着かせるために大きく深呼吸をする。
「お前も大変だな」
深呼吸をしていると、突然後ろから声をかけられ振り返る。
するとそこには、何時からいたのかゾロの姿があった。
「あはは、まぁね……」
「あのバカコックの何がいいかは知らねェが、あいつと付き合っててもお前が疲れるだけじゃねェのか?」
「そうなのかもしれないけど、惚れたもん負けだよ」
サンジを好きになったのはハルの方であり、ハルがサンジに告白をして付き合っている。
惚れたもん負け、まさにその言葉が自分にはピッタリだ。
「まぁ、人の恋愛にとやかく言うつもりはねェけどよォ。気にしてたら身が持たねェぞ?」
「うん、気を付けるよ。ありがとう、ゾロ」
ぎこちない笑みを浮かべそう言ったはいいものの、女部屋へと一人戻ったハルが思い出してしまうのは、やっぱりさっきの光景だった。
ナミとロビンは、ハルより先に麦わらの一味に入ったため、サンジとの付き合いが長い。
そして、サンジがあんな性格じゃ仕方ない事なのかもしれないが、やっぱり気になって仕方がない。
付き合ったら何かが変わるんじゃないかと思っていたが、結局何も変わらなかった。
「サンジは、本当に私のこと好きなのかな……」
サンジの事だ、ハルを傷付けないように付き合ってくれている、なんてことも有り得るからこそ不安な気持ちを感じてしまう。
ハルの表情が曇りかけていると、ドアをノックする音が聞こえ扉を開ける。
するとそこにはサンジの姿があった。