ONE PIECE
□愛ラブ船長
1ページ/5ページ
ハルには好きな人がいる。
その人は、我らが船長ローだ。
だが、どんなに好きと伝えても、ローは鬱陶しそうにするだけで、気持ちに答えてはくれない。
だからといって諦めるハルではないため、今日も船長に想いを伝えようと、食事部屋にやって来たローの前にオムライスを出す。
するとローは眉を寄せ、何だこれはと尋ねてくる。
オムライスですけどと首を傾げると、ローは溜息を吐く。
「おれが聞きてェのはそんなことじゃねェ。この文字は何だって聞いてんだ」
「やだなぁ。どこからどう見ても好きに決まってるじゃないですか」
今日の昼食はハルが作ったのだが、ローへのオムライスにはケチャップで好きと書いてある特製オムライスだ。
それを見たローはあからさまに険しい表情を浮かべると、スプーンの背でケチャップを伸ばし字を消してしまう。
自分の想いが消されていき、愕然とするハルを気にする様子もなく黙々と食べているローに、ハルはめげることなく立ち直ると、美味しいですかと尋ねる。
すると返ってきた返事は、不味くはねェと言う言葉。
決して美味しいとは言ってくれないものの、それだけで嬉しくなり、ニコニコとローが食べている姿を眺める。
それからしばらくしてローは昼食を食べ終えると、食事部屋から出ていってしまう。
その後を無言でついていくと、ハルの存在に最初から気付いたであろうローが振り返り、何だと一言いう。
ハルはローに何処へ行くのか尋ねると、自分の部屋に戻るだけだと返事が返ってくる。
「私も――」
「来るな」
ハルが言う言葉が予測できていたのか、ローは言葉を遮り断ると、そのまま歩き去ってしまった。
そして一人残されたハルはというと、食事部屋へと戻り、一人椅子に座ると俯き溜息を吐いていた。
そんなハルを見兼ねて声をかけてきたのは、仲間の一人のベポだ。
ハルはうるうると涙を浮かべながら顔を上げると、お前の気持ちもわからなくはないが、このまま追いかけ続けても逆効果だぞ、と言われ、やっぱりそうだよねと表情が暗くなってしまう。
だが、ベポの言う通りこのままローを追いかけ続けても、逆に避けられてしまうだけかも知れない。
最初の頃と比べると、ローが冷たくなっているのは自分でも気づいていた。