ONE PIECE
□囁く言葉
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今私はエースさんに連れられ、麦わらの一味の船に乗せてもらっている。
何故こんなことになっているかというと、私が記憶を失ってしまったから。
今から一週間前、エースさんとある街に来ていた私は一人街を見て回っていた。
だがその途中、海賊に絡まれている女の人を見かけた私は助けた。
そのとき、海賊に突き飛ばされた拍子に頭をぶつけ記憶をなくしてしまったらしい。
この話はエースさんから聞いただけで、私は全く覚えていない。
そんな状況のとき、偶然その街に来ていた麦わらの一味の皆さんと会い、私の様子が可笑しいことに気づいた麦わらの一味の人達にエースさんが事情を説明した。
すると、麦わらの一味のチョッパーさんが、何か思い出すかもしれないから一緒に船で航海をしたらどうかと言ってくれ、船に乗せてもらうことになり今に至る。
「ハルちゃん、記憶の方はどう?」
「ごめんなさい。まだ……」
自分のことなのに、思い出せないことが申し訳ない。
ナミさんが言うには、私は皆と何度か会ったことがあるらしく「一緒にいればなにか思い出すかもしれないから、今は焦らずゆっくりで良いのよ」と言ってくれる。
その言葉が嬉しいのと同じくらい、私には辛かった。
エースさんのことも、麦わらの一味の人達のことも思い出せない。
皆優しい人達なのはわかる。
でも、今の私には初対面の人でしかなくて、皆が仲良く話す姿を見ていると孤独を感じてしまう。
「ナミすわぁん、ハルちゅわぁん、お昼ができましたよ〜」
サンジくんの声が聞こえ、私とナミさんはダイニングへと向かう。
皆と食事をしている間もなんだか落ち着かず、私は周りをキョロキョロと見回しエースさんを探していた。
そんな私の様子に気づいたサンジさんに声をかけられ、エースさんの姿が見当たらないことを話す。
「そういや来てねェな。おれが探して来るからハルちゃんは待っててくれるかい」
「あ、なら私が呼んできます」
そう言い立ち上がると、私はダイニングを出る。
何故だかわからないが、早くエースさんに会いたいという気持ちでじっとしていられなかった。
ダイニングを出たはいいが、エースさんが何処にいるのかわからないためどこから探せばいいのか考えていると、海を眺め真剣な顔をしているエースさんの姿があった。
なんだか声をかけにくい雰囲気ではあるが、ゆっくりと近づいていき声をかける。