ONE PIECE
□私は貴方が嫌いです
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私には嫌いな人がいる、それは船長。
嫌いなのに何で私はこの海賊団にいるのか、それは、船長であるあの男に気に入られたから。
嫌いだとハッキリ何度も言っているのに、その男は笑顔を崩さず「面白いな、お前」と言うだけ。
私には理解できない。
船長も、そんな船長についていくクルー達も。
「何難しい顔してんだ?」
「ッ、突然現れないでよね」
今まさに、考えていた人物が横から覗き込んできたため驚き、近い距離にバッと距離をとる。
そう、私が嫌いな男、それは、麦わらの一味船長の、モンキー・D・ルフィ。
「ならどう声かければいいんだよ」
「そうね、声をかけなければいいんじゃない?」
プイッと顔を逸らすと、私は図書館へと向かう。
この船で唯一落ち着いていられる場所はここだけ。
あまり人も来ないし、とくにルフィが立ち寄らないから一番安心できる。
でも、今日は先約がいるみたい。
「あら、貴女も読書かしら?」
「ええ」
ベンチに座り本を読んでいたのは、ロビンさんだった。
この部屋は、たまにロビンさんが本を読みに来たり、ナミさんが航海日誌をつけるために訪れる場所でもあるから、こういう日はあまり落ち着かない。
でも今日は、ロビンさんが本を読んでいるだけみたいだから、私も少し離れた場所で本を読み始める。
ペラペラとページをめくって読み進めていると、突然ロビンさんに声をかけられた。
「もう航海には慣れたかしら?」
「ええ」
「でも、船長や私達にはまだ馴れないみたいね」
「私は船長が嫌いなの。馴れるなんて無理よ……!」
私は本を勢い良く閉じると、棚へと戻し、その場から立ち去った。
やっぱり誰かがいると、あの場所も落ち着けない場所になってしまう。
次は何処に行こうかと考えながらダイニングの近くまで来ると、突然扉が開きサンジさんが出てきた。
「ハルちゃん、丁度呼びに行こうと思ってたんだ」
「私を?」
「ああ。クッキーを焼いたから一緒にティータイムでもどうかと思ってね」
少し迷ったけど、折角誘ってくれてるのに断るのも失礼だと思い、とくに行く場所も考えていなかったため一緒にダイニングへと入っていく。