ONE PIECE
□雪の思い出(運命)
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あれは、運命の出会いだったのかもしれない。
今ハルの目の前にいるのは、昔出会ったことのある少女がいるのだから。
「ハル、さん……?」
「ロビン……ちゃん……?」
それは運命と呼ぶにふさわしい、クリスマスが起こした奇跡だった。
今から13年前、ハルが27の頃のクリスマスの日、ハルの家の前で少女が倒れていた。
ハルは冷えきった少女の体を抱き上げると、家の中へと入れ、毛布をかけ、ヒーターの電源を入れ、兎に角少女の体を温める。
冷えきった体に体温が戻りだし、しばらくすると、少女が目を覚ましたため、ハルはホットココアを用意し少女に飲ませた。
「ありがとう……。ここは……」
「私の家よ。貴女は私の家の前で倒れていたのよ。貴女は何処の家の子?私が貴女の家まで送っていくわ」
まだ目を覚ましたばかりの少女に、もう少し休んでからにしましょうと言い、ハルは珈琲片手にソファへと座る。
無言のままの少女は何かを考えているらしく、部屋の中をキョロキョロと見渡す。
「貴女、名前は?」
「ニコ・ロビン」
その名は日本人の名ではなく、顔立ちからして外国人のようにも見える。
だが、会話はスムーズに出来ており、日本で育ってきたのだろうかとハルは思った。
「よし!そろそろ帰ろうか」
ハルは立ち上がりコートを羽織るが、ロビンは顔を伏せたまま何かを考えると立ち上がり、ハルへと視線を向ける。
「私は、どうやらここではない世界から来たみたい」
「え……?」
その後ハルは、ロビンが話し出す言葉を静かに聞いた。
ロビンはこの世界ではない別の場所から来たこと、そして、自分は考古学者であることを。
最初は信じられなかったが、ONE PIECEという言葉を聞いた瞬間、それは確信へと変わった。
買ってきたONE PIECEの漫画には、今目の前にいるロビンと、名前も顔もそっくりな絵が描かれている。