ナンバカ
□アナタが教えてくれたから
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とある孤島に所在する、日本最大にして世界最高水準のセキュリティを持つ刑務所、南波刑務所。
ここの最も奥に存在する13舎13房の雑居房に捕らわれている4人の囚人は、今日も脱獄をしていた。
「おいお前ら、って、またアイツら脱獄しやがったなッ!!」
13房にやって来たこの男、双六 一(すごろく はじめ)は、この13舎の主任看守部長だ。
だが、扉を開けるもそこに彼らの姿はなく、血管を浮き上がらせながらその場から離れるとモニタールームへ向かう。
「おい!どうなってやがる!」
「えっとですね。先程脱獄した13房の囚人は、セキュリティーをどんどん突破してまして。このままだと……どうしましょう!!脱獄されちゃいますよ!!」
「あー、泣くなッ!!」
泣きながらハジメにすがりつくこの男は、七夕 星太郎(たなばた せいたろう)。
13舎で一番下っ端の看守であり、イケメンの部類に入るが、気が弱いのが欠点だ。
そんな七夕を引き離し、ハジメが向かった先は、この監獄最後の難関ともよべる場所だ。
一方そのころ13房の囚人達は、次々とトラップを回避し、ついに、最終地点の扉を開いた。
「よし、開いたぞ!」
「でかした!」
「凄いよジューゴくん!」
「だが、最後は……」
4人が見つめる先、それは刑務所の外なのだが、そこには一人の人物の姿がある。
そう、その人物こそ双六 一だ。
そしていつものことながら、怒りの拳をくらった4人は再び13房へと逆戻りとなった。
だが、4人が戻ってきたとき何故か部屋の真ん中に、一人の女が正座をして座っている姿がある。
「ッ!?ハジメ、女の子!!女の子がいんだけどッ!?」
「どこどこ?ほんとだ!女の子だ〜」
「何でここに女が!?」
「あ、本当だ」
自分達の部屋だというのに、4人は女に気をとられ、中に入ることも忘れ、ただ女へと視線を向けていた。
畳に正座する女の姿は一枚の写真のように美しく、ハジメとジューゴ、この2人を覗いて3人は生唾を飲む。
すると女はスッと皆へ視線を向け、その視線に3人は鼓動を跳ね上がらせた。
「戻ってこられたのですね」
美しい声音で微笑みながら言われた言葉はどこか心地よく、3人は口をつぐんだまま声が出せずにいた。
そんな3人のことに気づきもせず、その中でジューゴが口を開く。