ナンバカ

□アナタは皆に優しくて
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今日もここ、南波刑務所は平和である。
筈だったのだが、仕事中、看守であるはずの巫兎の姿が見えず、結局猿門(さもん)一人で8房の囚人の鍛練を監視することになり、随分お怒りのようだ。

そんな猿門がやって来たのは休憩室であり、扉を開ければ、長椅子に横になっている巫兎の姿がある。



「やっぱりここに居やがったか!!何仕事もせずにサボってやがる!!」

「だって、別に私がいなくても猿門(さるもん)さん一人で足りてるじゃないですか」



そんな怒りを露にしている猿門にも、巫兎は平然と言葉を返す。

一応猿門は巫兎の上司となるのだが、誰が見ても明らかになめられている。



「足りてるとかの問題じゃねぇ!!俺だって仕事があんだよ!!それに猿門(さるもん)じゃなくて猿門(さもん)だッ!!いい加減覚えやがれッ!!」

「猿門(さもん)でも猿門(さるもん)でも似たようなもんじゃないですか。それに、鍛練の監視くらいなら猪里先輩に任せれば私はいりませんよね?あの人いつもサボってますし」

「お前って奴は……」



猿門が怒りにプルプルと肩を震わせていると、休憩室の扉が開き、3舎の主任看守であるキジがやって来た。

キジは休憩室に入るなり、横になる巫兎、肩を震わせる猿門を見て直ぐに状況を理解する。



「巫兎、アンタまたサボったのね」

「だって、私がいてもいなくても同じなんですもん」



キジにたいしてもこんな態度であり、普通なら問題とされるところだが、巫兎は本部が送ってきた人材だ。

話によればかなり優秀で仕事ができるようなのだが、ここにやって来てから全く働く気配はない。



「わかった……。そんなに仕事がしたくねぇなら、今日からお前は俺から離れることを禁じる!!」

「え?」

「それいい考えじゃない!猿と一緒に行動してれば逃げる隙なんてないものね」



まさかの展開に巫兎は驚きの表情を浮かべ、冗談だろうと思ったが猿門の目は本気だ。

だからといって巫兎は嫌がる様子もなく猿門の言葉を受け入れると、早速猿門の後に続き5舎へと向かう。



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