ナンバカ

□涙の意味を知りたくて
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月が綺麗な夜、此処、南波刑務所の囚人である13舎13房の4人の囚人が脱獄をしていた。



「てめーらは、毎度毎度脱獄しやがって!!俺の仕事が増えんだろうが!!」



ようやく外に出られた4人だったが、この南波刑務所を本当の意味で出るためには、この目の前に立ちはだかる男、13舎13房の主任看守部長である双六 一を倒さなければならない。

脱獄は此処に来てから何度もしているものの、一だけは誰も倒せたことはなく、今日もやられるのを覚悟で立ち向かおうとしていたその時、何処からか声が聞こえてきた。



「キャーッ!!」



その声は女のものだが、此処は南波刑務所であり、とある孤島に所在する、日本最大にして世界最高水準のセキュリティを持つ刑務所。

その場所は何処にあるのかさえもわからない場所だというのに、そんな場所に女の声がする自体可笑しい。



「一体なんだ!?何処からこの声は、ぐはッ!!」



声の正体を突き止めるべく、一が周りを見回していると、突然の頭上からの衝撃に顔面を地面へと強打してしまった。

囚人4人は何が起きたのかわからず砂埃を見つめていると、シルエットが浮かび上がり、一の影ともう一つ影があることに気づく。



「あれ?誰かいるよ!」

「ほんとだ」

「なんだなんだ!?」

「どれどれ〜って、もしかしてあれは……!?」



砂埃が収まりそのシルエットの人物がハッキリと見える。



「やっぱ女だぁーッ!!」



そう、一の上で倒れているのは女であり、どうやら気を失っているようだ。

だが、この13舎の囚人に女はおらず、看守にも女はいない。



「ッ……一体なんなんだよ!!」



一が上で気を失っている女を退け立ち上がるが、どうやら頭に直撃したらしくかなりの痛みを感じる。



「ハジメちゃん、女の人だよ!!」

「女だと?何でこんなとこに女がいやがんだよ」

「俺には空から降ってきたように見えたんだけど」



ジューゴの言葉に他の3人も頷くが、一はんなわけねぇだろうがと信じはしない。

結局、女をこのまま放置というわけにもいかず、一度13舎の宿直室で寝かせ、目が覚めたら話を聞くことになった。



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