ナンバカ

□makeupは恋を呼び寄せ
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ここ3舎は、勉学の3舎とも呼ばれているのだが、ここの主任は美しいものが好きな人物だ。

そんな3舎の主任、三葉 キジの元へ、最近手のかかる新人が入ってきた。



「嫌です」

「ダメよ!この3舎の看守なら、美意識を持たなくちゃ」

「そんなの自分だけ持っててください。誰も美意識を持つためにこの職に就いた訳じゃないんですから」



自分の上司であるキジにたいし臆することもなく、新人看守である巫兎はハッキリと自分の意見を口にする。

それも、言ってることが正しいだけに何も言い返すことができないのだ。



「まったくアンタときたら、服装はしっかりしてるのに何で化粧はしないのよ」

「必要ないからです。ここは刑務所、身形は正してもメイクは必要ないですから」

「本当に可愛くない子ね!」



ぷんすこと怒りながらキジは休憩室へ行くと、そこには一と猿門の姿がある。



「機嫌悪そうだな、また新人のことか?」

「もうほんとあったまきちゃうわよ!あの子ったらメイクをしないのよ!?」

「あぁ、そういやいつもしてねーよな」



猿門に愚痴を吐き出すキジを見て、一は小さな声で下らねぇと吐き捨てた。

巫兎が3舎の看守に配属されてからというもの、キジが何度注意をしたところで今回のように拒否されてしまう。

美しいものが好きなキジにとって、美しくないものが傍にあるだけで許せないのだ。



「そうだわ、良いこと考えちゃった!」



その言葉に、猿門も一も嫌な予感を感じ、そしてその予感は現実となった。


翌日、巫兎が看守室へとやって来ると、何時もならガミガミ言ってくるはずのキジが何も言わない。

だが、巫兎が看守室へと入ったとたん、キジは巫兎へと近づき腕を掴むと、有無を言わさず椅子へと座らされてしまう。



「ッ!一体なんなんですか!?」

「決まってるじゃない、メイクよ、メ・イ・ク!」

「はぁ……。私はしないって言いましたよね?」



これ以上付き合ってられないと思った巫兎が立ち上がろうとすると、キジに両腕を掴まれビクともしなくなる。

これは男の力であり、巫兎が顔を上げるとキジはニコリと笑みを浮かべた。

その時、目の前にいるのはいつものキジのはずなのに、一瞬男に見えてしまい、不覚にも鼓動が弾んだ自分に巫兎は訳がわからなくなる。



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