ナンバカ
□前よりも、アナタに恋して
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この南波刑務所には、南波刑務所恒例行事や新年大会での実況を務める人物がおり、その放送局部部長が一声 三鶴という男だ。
行事などで放送や実況係を勤めることもあるが、普段はセキュリティールームで刑務所全体の監視を行っている。
そして、そんな三鶴に気に入られてしまったのが、最近新人で13舎に配属された女看守の巫兎だった。
「あの、何故ついてくるのでしょうか?」
「いや〜、巫兎ちゃんのこと好きだからね!一緒にいたいって思うのは普通じゃないかな〜」
色黒の肌、そしてピアスにサングラス、その上この話し方だ、チャラい男が苦手な巫兎からしたらあまり関わりたくはないタイプの人間だ。
だが、一応自分より先輩のため何も言うことができず、結局三鶴に付き纏われることとなる。
「主任、3舎に書類を届けてきました」
「ああ、ご苦労だったな」
「やっほー!ハジメ」
「三鶴、てめーまた巫兎に引っ付いてやがったな!!」
一が怒るも、三鶴は気にする様子もなく何時ものテンションで一の反応を楽しんでいる。
巫兎が南波刑務所に来てからというもの、毎日この繰り返しであり、正直迷惑でしかない。
仕事をしている途中で声をかけられたりもするため、仕事が進まないことなんてしょっちゅうだ。
「はぁ……」
「どうしたの?溜め息なんてついて」
休憩時間となった巫兎が休憩室でため息をつくと、近くに座っていたキジが尋ねてきた。
その場にいた一や猿門にも、三鶴のことを話すと、3人はどうしたものかと巫兎と一緒に頭を悩ませる。
「三鶴には俺も迷惑してるからな」
「まぁ、あれだけ付き纏われたんじゃストレスにもなるよな」
「女の子の迷惑も考えないなんて、ちょっと懲らしめてやるべきよ!」
だが、結局その為のアイディアは浮かばず4人が悩んでいたとき、一がひらめいた。
それは、巫兎と三鶴を会わせなくするというなんともシンプルな方法だが、一番解決に近いものだ。
「いいじゃない、それ!」
「ゴリラにしてはいい案じゃねーの」
「何だとサル!?殺されてーか!!」
だが、この方法を実行するには皆の協力も必要になる。
そこで、日頃三鶴に迷惑を被っている他の舎の主任経ちにも協力を求め、巫兎と三鶴、会わせないぞ大作戦が決行された。